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ジャン・バティスト・レカイヨン醸造責任者が語ったシャンパン『ルイ・ロデレール』のすべて [来日したワイン生産者&関係者]

1776年創業のシャンパンメゾン『ルイ・ロデレール』

画像協力:エノテカ



初来日したルイ・ロデレール副社長兼栽培・醸造責任者のジャン・バティスト・レカイヨンさん
1989年入社、カリフォルニアや豪州での経験を経て1994年にシャンパーニュに戻り、1999年醸造責任者に就任。2006年からロデレールグループが生産する全ての総括を担っています。


同社はポルトガルの『ラモス・ピント』、シャンパンメゾンの『ドゥーツ』、ボルドーの『シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ド・ラランド』等を所有

ルイ・ロデレールの特徴
ルイ・ロデレ-ルは家族経営のメゾンで、現社長は7代目のフレデリック・ルゾーさんです。シャンパン業界で、ひときわ輝く存在感を誇示している同社の際立つポイントは・・・

栽培面
■ぶどうの75~80%が自社畑
現在240㌶(GC26㌶、PC87㌶)を所有。フィロキセラ禍で多くの人が畑を手放した1880年代に初めてヴェルズネイに100㌶(1845年)取得、世界恐慌でシャンパン業界が停滞していた1929年にも多くの畑を入手。これが自社畑拡大の基礎になっています。すべてのヴィンテージシャンパンは自社畑のぶどうでまかなわれています。自社畑だと細かいチェックができるので、より良いシャンパン造りのための大事な要因になります。
■ビオディナミ農法
取り組みは十数年前。すべての作業はカレンダーに添って実施。『クリスタル』と新アイテム『ブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデル』にはビオディナミのぶどうを使用
■マサル・セレクション
クリスタルを構成しているピノ・ノワールとシャルドネはルイ・ロデレールの〝メモリー〟を反映させた昔からの遺伝子的な多様性を備えた苗木を使用
マサル・セレクションはマス・セレクション、集団選抜と呼ばれるもので、畑から優秀な株を複数選び、補木を取って苗木をつくり、元の畑に戻す方法。代々引き継がれてきた自分の畑で、時間をかけて優秀な株を選抜し、それを苗木として使用するので、テロワールに即したものと言える。苗木はクローン苗が一般的になる前に植樹された畑の株でなければならない。株は例えば、果実の豊かさ、果皮の厚み、果粒の大きさ、香りや酸の強弱等、これらが混在することで、複雑味のある表現ができる(筆者記載)
■樹齢
ひとつの基準として25年超のぶどう樹はクリスタルに使用。クリスタル用のぶどう畑で25年以下の樹はブリュット・プルミエNVに使用。25年以下のワインは大樽で3年間熟成させ、リザーヴワインとして活用


醸造面
20世紀前半のワイン造り同様、できるだけ手を加えないスタイル
240㌶は410区画に分類、それぞれ単一畑と同じ捉え方で醸造を行っています。
■MLF
必要に応じて行うが、ヴィンテージシャンパンには行わない方針
近年では2010年、2011年には実施。2012年、2015年、2016年はノン・マロ
MLFをしない理由は「フレッシュな味わい、正確な味わいを残すため」とレカイヨンさん
■醸造施設
7ヶ所に施設(クリスタル、クリスタル・ロゼ、ブラン・ド・ブラン等)があり、個々に対応
■5気圧
シャンパンは通常6気圧ですが、ルイ・ロデレールのアイテムは5気圧(平均5.2気圧)。この方針は1930年頃からで、ブラン・ド・ブランは4気圧
2次発酵で添加する糖分は炭酸ガスを造るのが目的。結果的にアルコールがあがる。24gの糖分がすべてアルコールに変わった場合は約1.5%に相当。但し、この数値は2次発酵の温度、酵母によって若干変化する。シャンパンに必要なガス圧は20度で5気圧以上。 ◇4気圧(10度)=5.4気圧(20度) 補糖16g/Lあたりアルコール約1% アップ ◇5気圧(10度)=6.8気圧(20度) 補糖20g/Lあたりアルコール約1.2%アップ ◇6気圧(10度)=8.2気圧(20 度) 補糖24g/Lあたりアルコール約1.5%アップ (筆者記載)



(左から)
メゾンの顔『ブリュット・プルミエNV』、『ブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデル2009』、『ブリュット・ヴィンテージ・ロゼ2011』、『ブリュット・ヴィンテージ2009』、『ブラン・ド・ブラン ヴィンテージ2010』、『クリスタル2009』

ブレンドの妙 ブリュット・プルミエNV
PN40% 、CH40% 、M20%(5%くらい前後
ベースワイン(2012年/14GCと37PCの51区画)70%、リザーヴワイン(7VT)30%
65%前後が自社畑で残りは毎年同じ契約農家からの買付ぶどう。現行のプルミエはベースワインが力強かったので、リザーヴワインは優しいタッチのものを選択

レカイヨン:看板商品であり、ベースとなるヴィンテージの味を感じるのでマルチヴィンテージではなく、NVと呼びたい。最初に清涼感、その後、舌の中ほどから付け根にかけてソフトでベルベットのような滑らかな感触、舌の付け根に塩味。
ドザージュ量は9g、15年前は12~ 13g/ L。減量の理由は気候の変化と栽培条件(15年前から化学肥料、除草剤の不使用)で、ぶどうの熟度によるもの。ドザージュの役割は酸味と甘味のバランスを保つことであり、このシャンパンはMLFをしていないので、酸が高い。ゆえにドザージュは多め(9g/L)。MLFを行って酸味を下げた状態であればドザージュ量は4gで十分。リリースしたばかりのブリュット・プルミエはリザーヴワインの味が顕著なので、3~4年保存して、熟成のポテンシャルが出てきた頃に飲むとベースヴィンテージ(2012年)が良くわかる。1998年からアプリで詳細情報を公開中

感性に訴えかけるブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデル2009

「ノン・ドゼを造ろうと思ってトライしたのではない。ぶどうが熟したので何も手を加えないで、ミニマリズム(極限まで無駄を省く)で行こうと決め、完成したのがこのキュヴェ」とレカイヨンさん


フレデリック・ルゾー社長とフィリップ・スタルクさん 画像協力:エノテカ

PN55%、CH20%、M25%
ヴァレ・ド・ラ・マルヌのキュミエールのぶどうはビオディナミで栽培。ぶどうの特徴を最大限に生かすため、3品種を同時に収穫。発酵はステンレスタンク70%、木樽30%、5気圧弱を目安に熟成させ、ノン・ドゼで生産。
[バー]追加情報:自社畑のキュミエールではM(ムニエ)を栽培しています。ただ、極小区画なので、PNとCHを全面に出しています。

レカイヨン:フィリップ・スタルクとのコラボは、今までにないものを作りたいとの思いがあったからそれを実願するために、彼のインスピレーションを生かして、極限までそぎ落としたシャンパンを造った。2006年、2009年に続く、次のヴィンテージは2012年。粘土石灰質土壌由来のまるみがあり、早い段階から塩味を感じる。口中では幅広で密度があり、濃厚で凝縮感がある。単一畑で品種が固定しているので、ヴィンテージで個性が異なる。2006年は暑かったので力強さ、ふくらみがあり、2009年は暑かったものの、2006年程ではなかったのでシャープでエレガント



ビオデイナミへの取り組みは十数年前から


ノン・ドゼのきっかけは「10年前に自然農法の提唱者福岡正信氏の思想に影響されたから」とレカイヨンさん。福岡さんは2008年に他界なさいましたが、アンセルム・セロスも福岡シンパ

独自製法のブリュット・ロゼ2011

PN63%、CH37%
粘土石灰質土壌(キュミエール)のピノ・ノワールと石灰質土壌のシャルドネを使用
2011年は難しいヴィンテージ、生産したのはロゼとブラン・ド・ブランの2アイテムだけ
ピノ・ノワールを低温(4度)で7日~10日間マセレーション(セニエ法)。色を抽出したピノにシャルドネのジュースをブレンドしてアルコール発酵。木製発酵槽22%

レカイヨン:ピノ・ノワールは朝方収穫すると朝露がついてしまうので、午後に行う。南向き斜面で収穫したピノは酸味が低いので、フレッシュなシャルドネを加えて発酵させることで、調和がとれた味わいになり、瓶内熟成をした時にその特徴が出てくる。香りはブラッドオレンジ、酸味の印象が強いので、黒いグラスで試すとロゼではなく、フレッシュな白ワインだと思うはず。発酵に木樽を使うことで、スモーキーなニュアンスが出てくる。クリスタル・ロゼも同製法。違いはぶどうの出所で、ピノはアイ、シャルドネはアヴィズとメニル・シュル・オジェ




クラシックなスタイルのヴィンテージ2009
PN70%、CH30%
ピノ・ノワールは1845年に初めて購入したヴェルズネイの畑、北東向き斜面、冷涼エリアなので新鮮なぶどうが収穫できる。ぶどうがフレッシュなので木製発酵槽30%を使い、まろやかさを表現

レカイヨン:クラシックなシャンパンの味わい。マリアージュのヒントとして最初にピノベース、最後にシャルドネベースにするのがロデレールスタイル。フルコースで合わせるなら、最初にロゼ、次にブリュット・プルミエ、ヴィンテージ、クリスタル、そしてブラン・ド・ブランを最後にすることで、口中をリフレッシュさせることができる。このシャンパンは粘土質と石灰質土壌から構成されているので、味わいにも最初に粘土、後から石灰質のニュアンス

4気圧のブラン・ド・ブラン2011
CH100%
アヴィズ(地下水が少ない乾燥した土壌)の4区画のぶどうを使用。グラン・クリュになればなるほど石灰分が多く、土壌の特徴としてぶどうはゆっくり熟す。シャルドネは香りや果実味をより多く出すために少しだけ遅らせて収穫。発酵はステンレスタンク80%、木製発酵樽20%

レカイヨン:ルイ・ロデレールのアイテムのなかで一番ガス圧が低いシャンパン。泡が前面に出るのではなく、最初にワインの塩味を感じ、後から、泡を感じるように設計。ぶどうの熟度が高いのでMLFはしていない。石灰質土壌のシャルドネは鋭角的な味わいで、舌に直接働きかけてくるような広がりがある。2010年ヴィンテージは難しい年だったが、アヴィズのぶどうは熟度も高く、良いぶどうが収穫できた。

王者の風格クリスタル2009
PN60%、CH40%
1876年ロシア皇帝アレクサンドラ2世の要請により誕生したシャンパン。石灰土壌でPNを栽培すると低収量。結果としては香り・味わいに凝縮感が出る。PNの畑はヴェルズイ、ヴェルジ、ボーモン・シュル・ヴェスル、アイの4つのGC。すべて丘陵の中腹。クリスタルの畑は全部で45区画、実際に使うのは32区画。ぶどう樹は25~82年で平均樹齢42年。ブレンドを決めるのは収穫年の冬で1か月を要する。ピュア、チョーキー、プレサイズ(寸分の違いもない)であることがスタイルの基本。今後リリースするヴィンテージは2008年、2012年、2013年、2014年、2015年 2016年

レカイヨン:2009年はリリースの順序を入れ替えたヴィンテージで、これはメゾン初のこと。クリスタル2009は2016年に発売したが、2008年はまだ熟成中。ドザージュ量を1g減らして8g/Lにしたのも初めて。今までのクリスタルのなかで一番ドザージュ量が少ない。
クリスタルはビオディナミに転換中で2020年には100%ビオディナミのぶどうで生産する予定。ドザージュ量を下げたのは熟度が高かったことに加え、ビオディナミ農法だと、味わいに力強さと奥行きが出るので、通常年より1g下げることに成功した。
若いので奥行きはまだ出ていないが、石灰土壌由来のニュアンス、熟成のポテンシャルは感じるはず。飲む2~3時間前に抜栓を!


2008年と2009年のリリースを入れ替えた理由
順番を変えようと考え始めたのは3~4年前。2008年はタイトで、1988年(PN40%、CH60%)と似ている。通常では考えられないくらいポテンシャルがあり、熟成期間が長い。粘土質のシャンパンなら、そのままの順番で出したが、石灰質のシャンパンは熟成がゆっくり進むので決断した。
クリスタルは全部瓶詰めするのでななく、一部大樽でキープしている。樽は瓶より早く熟成するので、将来的に瓶詰めされたクリスタルの変化が予想できる。


シャンパン講座でマスタークラスセミナーを再現

2017年最初の講座で、ルイ・ロデレ-ルの6アイテムを再検証

左から
#1:ルイ・ロデレール ブリュット・プルミエNV
生産者: ルイ・ロデレール
ぶどう品種:PN40%、CH40%、M20%
ドザージュ:9g/L
価格: 6,800円(税別)

#2:ルイ・ロデレール ブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデル2009
生産者:ルイ・ロデレール
ぶどう品種: PN55%、CH20%、M25%
ドザージュ: 0g/L
価格: 15,000円(税別)

#3:ルイ・ロデレール ブリュット・ヴィンテージ・ロゼ2011
生産者:ルイ・ロデレール
ぶどう品種:PN63%、CH37%
ドザージュ:9g/L
価格: 10,000 円(税別)

#4:ルイ・ロデレール ブリュット・ヴィンテージ2009
生産者: ルイ・ロデレール
ぶどう品種:PN70%、CH30%
ドザージュ:9g/L
価格: 10,000円(税別)

#5:ルイ・ロデレール ブラン・ド・ブラン・ヴィンテージ2009
生産者:ルイ・ロデレール
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:9g/L
価格: 15,000円(税別)

#6:ルイ・ロデレール クリスタル2009
生産者:ルイ・ロデレール
ぶどう品種:PN60%、CH40%
ドザージュ:8g/L
価格:32,000円(税別)


石灰質土壌由来の〝凛〟としたスタイル、エレガント!
ブラン・ド・ブランは2009年ヴィンテージ(セミナーは2010年


シャンパンの状態も完璧、充実した2時間になりました!




ドザージュ後の瓶内熟成に興味を持っていたので、ドザージュの有無で、瓶内熟成はどのように変化するか、質問させていただきました。

レカイヨン:ドザージュすると瓶内で抗酸化(酸化を防ぐ)の働きをしてくれるので、ノン・ドゼのものは、ドザージュをしているものより、熟成のポテンシャルは短いかも知れません。ちょうど1週間前に2006年を試す機会がありました。酸化はしてなくて、健全な状態で熟成していました。(1)原料ぶどうがビオディナミで栽培されている。(2)発酵にオーク樽を使っているので木樽からタンニンが溶け込むことで、それが抗酸化の働きをしている。(3)酸が高い。
これら3つの要素で、ドザージュをしなくても、ポテンシャルはまだまだあるのではないかと思っています。

レカイヨンさんの解説を伺いながら、私は彼の優秀さに通じるある方を連想していました。
昨年3月に逝去なさったシャトー・マルゴーの総支配人ポール・ポンタリエさんです。ポンタリエさんはパリ国立農業大学に入学し、その後、モンペリエ国立高等農業大学でぶどう栽培&ワイン醸造を習得。シャトー・マルゴーで30年以上にわたり、総支配人兼最高醸造責任者として活躍なさいました。

輸入元エノテカのサイトにあった 「フランス国立農業学院で醸造と栽培の両部門を首席で卒業」というレカイヨンさんの紹介文を見て、その共通性にひとり納得。
天才醸造家とお目にかかり、お話を伺えたことはとても光栄でした!

エノテカ様にはマスタークラスセミナーでお世話になりました。またNHK文化センターのシャンパン講座でもデータ等のサポートをいただき、感謝しております、ありがとうございました!!


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〝テイスト・ナパヴァレー〟でナパワインと肉料理の相性を探る! [来日したワイン生産者&関係者]

TASTE NAPA VALLEY


ナパヴァレー・ヴィントナーズ(NVV)主催の「TASTE NAPA VALLEY(テイスト・ナパヴァレー)」が1月17日から1月20日までの4日間にわたり、東京・大阪・京都の3都市で開催されました。これは2年に1度、日本国内で催されるワイン生産者の来日イベントで、今年は15ワイナリーが参加。ワイン業界関係者対象のセミナーや試飲会およびワイン愛好家向けのメーカーズディナー等で、ナパヴァレーのワインの魅力を紹介しました。

期間中、8ワイナリーが参加したセミナー「ナパヴァレーワインと肉料理の相性を探る」にお邪魔してきたので、肉料理をメインにしたワインと料理のペアリングについてまとめておきます。
セミナーでは、CIA(カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ)を卒業後、カリフォルニア料理のスペシャリストとして活躍しているNVV日本事務所の小枝絵麻さんがMCを担当。
ペアリングに関しては、カリフォルニアワインに精通している西麻布『ルエ・ヴェル・ロール』の千葉和久ソムリエのコメントをベースにしながら、小枝さんがワインと4つの肉料理(供出順に、塩&タレの焼鳥、ハンバーグ、牛カツ、焼肉)との相性を解説しました。

セミナーに参加した8ワイナリー
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右から)トレフェセンのジョン・ルエルCEO、トゥーミー&シルバー・オークのヴィヴィアン・ゲイ インターナショナル・セールスマネージャー、サン・スペリーのエマ・J. スウェインCEO、ケークブレッドのニコール・カミングスさん、シレノスのスコット・メドウズジェネラルマネージャー、レイモンドのリ・アン・リードさん &ダリオッシュのダニエル・デ・ポロ社長

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NVV日本事務所の小枝絵麻さん

ワイナリー&ワインついて


1) トレフェセン・ファミリー・ヴィンヤード /2014ドライ・リースリング
オーク ノール地区、1968年創業、来年50周年、家族経営でぶどうはすべて自社畑、冷涼エリアでエレガントなワインを産出。ドライ・リースリングはぶどう畑をそのまま表現したぶどうなので樽は使わず、非MLF、12月に瓶詰め、料理に合わせやすいワイン

2) レイモンド・ヴィンヤード/2013リザーヴ・セレクション・メルロ
ラザフォード地区、1970年創業のワイナリー。創始者ロイ・レイモンドは1933年からベリンジャーで働き、当主の孫娘と結婚。ベリンジャーがネスレに買収されたのを機にレイモンド・ヴィンヤーズを興す。1974年に植樹してワイン造りを開始。2009年にレイモンドが引退、現在オーナーはジャン・シャルル・ボワセ(JCB)。リザーヴセレクションメルロはME90%、CS9%、プティ・シラー1%のブレンド、フレンチオーク熟成18ヶ月、平地のぶどうのワイン

3) トゥーミー・セラーズ/2012メルロ
1999年創業、オーナーはシルバー・オーク(CSに特化)。CS以外のワインを生産したいということで興したワイナリー。ぺトリュスやドミナスでワイン造りの経験を持つワインメーカーによる伝統的な製法。メルロはすべて単一畑。2012のメルロはME80%、CF16%、PV4%のブレンド、フレンチオーク熟成13ヶ月(32%新樽)

4) シレノス・ワイナリー/2013 カベルネ・フラン
オークノール地区、1968年創業、CS、CF、PVを植樹し、少量のワイン生産とぶどう販売(モンダヴィ・ワイナリーのリザーヴに使用されていた)を経て、本格的なワイン造りに着手。2013カベルネ・フランは年間50ケースの希少ワイン(日本へは10ケース)、5%程度アメリカンオークを使うことで、スパイシーな風味を表現。CF75%、CS15%、PV10%のブレンド

5) シルバー・オーク・セラーズ/2012カベルネ・ソーヴィニヨン
1972年ダンカンファミリーが立ち上げ、現在3代目。米国のステーキハウスで人気のアイテム。創業以来の方針は■カベルネだけを生産(現在2アイテム)■樽はアメリカンオークを使用。ミズーリー州に樽工場を所有、2012カベルネは米国(2月発売予定)より、日本先行披露。樽熟成24ヶ月(新樽100%)後、瓶詰め24ヶ月、市場に出るまで4~5年を要す。CS80%、ME10%、CF7%、PV3%のブレンド

6) ケークブレッド・セラーズ/2013カベルネ・ソーヴィニヨン
ラザフォード地区、1973年の創業以来、ぶどう栽培から販売までケークブレッド夫妻と息子夫妻が仕切るワイナリー。2013カベルネ・ソーヴィニヨンはナパヴァレー全域のぶどう(温暖なエリアから冷涼なエリアまで)を使ったワイン。契約農家の5つの異なる畑の300区画のワインを個々に100%フレンチオーク(新樽50%)で6ヶ月熟成させ最終ブレンド。仕上げたワインは再度フレンチオークに戻し12ヶ月熟成。ブレンド比率はCS81%+CF、ME、PV

7) サン・スペリー・エステート・ヴィンヤーズ&ワイナリー/2013エステートカベルネ・ソーヴィニヨン
1982年創業、ナパヴァレーに2つの自社畑620㌶(うち植樹されているのは3分の1)、ワインはすべて自社のぶどうを使用。土壌13タイプ、品種も様々。ラザフォードではCS、ME、CF、PVを栽培。2013カベルネ・ソーヴィニヨンはフレンチオーク熟成18ヶ月、CS86%、PV8%、マルベック6%をブレンド
 
8) ダリッシュ/2013カベルネ・ソーヴィニヨン
1997年創業、3つの自社畑(各30エーカー)を所有、ワイナリー周辺(スタッグス・リープ地区の南)、オークノール(ME、ヴィオニエ、シラー)、標高600メートルにあるマウントヴィーダー(CS、ME、CF)。2013カベルネ・ソーヴィニヨンはCS80%、ME10~12%、CF6~8%(年による)、山のぶどうを40%使っているので、重量感とエレガントさを備えたワイン

ナパワインとのペアリング


■ワインは8種類
前列左から1)~4)、後列左から5)~8)
■ブリッジ食材は12種類
手前左から万能ネギ、黒胡椒、わさび、フェンネルスパイス、ドライハーブスパイス
奥左から煮切り赤ワイン、とんかつソース、ゆず、たまり醤油、焼肉のタレ(甘口)
粒マスタード(左端の黒いケース)と塩(画像外

ナパワインの日本でのイメージ

果実味が強く、アルコールが高いと表現されることが多いのですが・・・
実際はバランスが良く、無数の味わい

ワインと料理の方程式

ワインのボディ、タンニン、酸の3要素と料理が同じバランスであること
ブリッジ食材(ワインと料理を結びつける食材)を活用することで幅広い相性が楽しめる

実際に試してみると


第1フライト 焼鳥×1)、2)
千葉コメント
1)はシトラス、フレッシュ、ぺトロール、ミネラル、冷涼なオークノールの個性、酸が特徴的
2)は赤系果実、ジャムまでいかない熟度、クローブ、ナツメグ、滑らかなタンニン

ペアリング
ドライリースリング:焼鳥を食し、2割残っている状態でワインを口に含む。融合するが、何か特出する印象ではない。ワインにはライムやレモンの香りはあるので、焼鳥にユズをたらして食する。まずワインの味が鮮明に変化、クリアになる、フレッシュ感、ワインを生き返らせる。余韻が伸び、アロマが豊かになる。ハーブ、白胡椒の香りも。
メルロ:最初は単体、次にハーブミックス。焼鳥は塩とタレ(奥)。焼鳥(タレ)にハーブミックスをつけると余韻が伸び、鶏肉の甘さを引き立てることができる。

第2フライト ハンバーグ×3)、4)
千葉コメント
3)赤系果実、ドライフルーツ、ココナッツ、ヴァニラ、クローブ、チョコ、2)よりこなれた柔らかいタンニン、アルコール高め(温度があがった影響)
4)赤系&黒系果実、ジャムのニュアンスはあるがフラッシュさもある、冷涼エリアのオークノールの特徴、若干ハーブ、ナツメグ、酸の印象(1~3より)、タンニンの量は3と比べ、少ないが鋭角的

ペアリング
赤ワインはデミグラスソースとは当然合うので、今回は和風系のハンバーグにしてトライ。ポン酢役として、たまり醤油と煮切り赤ワインを使用。たまり醤油は肉を食した時に旨味を感じさせてくれる。加えて樽の味わいも出てくる。ポン酢役の2食材に万能ネギを添えることで、口中に清涼感、CFのなかのハーブの要素、アロマ。さらに、たまり醤油と煮切り赤ワインにフェンネルのスパイスを添えることでハーブの香りがより顕著。
ここでは果実味に酸味を加える意味で煮切り赤ワインを使用

第3フライト 牛カツ×5)、6)
千葉コメント
5)黒系果実のブラックチェリー、ブラックベリー、カシス、熟した状態とジャムの中間、ドライフルーツ、若干杉の香り、ココナッツ、ベーキングパウダー、ヴァニラ、クロ―ブ、タンニンは豊かで滑らか、柔らかいタンニン、アルコール高め(温度があがった影響)
6)黒系果実のブラックベリー、鉛筆の芯、 杉の木、ボルドーワイン似の香り、シナモン、枯葉、供出された赤ワインのなかで一番しっかりしたタンニン
 
ペアリング
5)のタンニンが柔らかいので、とんかつソースだと余韻が途切れる。熟した果実が前に出ているので、ソースとバッティング。たまり醤油(樽を使って発酵させているので)と牛カツと合せると、とんかつソースだけでは感じなかったスパイス風味が出てくる。6)にはしっかりしたタンニンがあるので、とんかつソースと合う。たまり醤油にフェンネル(清涼感)、黒コショウ(辛味のフィニッシュ)のブリッジ食材を加えると、隠れていたワインの要素。奥行きが広がり、余韻も伸びる。 
たまり醤油がない時は普通の醤油に煮切りワインを10対1の割合で代用できます

第4フライト 焼肉×7)、8)
千葉コメント
7)黒系果実のブラックベリー、ブラックチェリー、杉、鉛筆の芯、ナツメグ、シナモン、骨格はケークブレッド似、ただし、タンニンはケークブレッドほどではない
8)黒系果実のブラックベリー、ブラックチェリー、熟した状態だがフレッシュさも出ている、清涼感、山のワインらしいしっかりしたタンニン
 
ペアリング
ジャム的要素がない7)だとあわせた時に軽い苦み。そこで、マスタード(酸や発酵した要素のあるブリッジ食材)をつけて食すと今度は余韻が伸び、アロマにはベリー系のニュアンスも。 8)にはコクと果実の甘味があるので甘口のたれとも合う。多くの要素(シナモン、ハーブ、タンニン等)があるので、わさび、たまり醤油、煮切り赤ワインであわせると、バランス良く、最後はわさびの清涼感でまとまる。また、万能ネギ、たまり醤油、黒胡椒だと、ダリオッシュの持つ果実味はもとより、ネギの旨さが広がり、最後に黒胡椒でフィニッシュ


小枝絵麻さんの経験に裏打ちされたペアリングの組み立てはお見事でした。
ブリッジ食材を使うことで、味わいだけでなく、隠れていたアロマの発見ができたことは収穫!

ナパワインのブリッジ食材

ワイナリーの皆さんはゆずやわさび、たまり醤油などの日本の食材への関心、揚げ物とCSのタンニンの関係、ネギやハーブを使った新たなアロマの発見に興味津々でした。

ダリオッシュのダンさんは「ルールを破りながら、ペアリングを楽しみたい」とおっしゃっていましたが、〝ブリッジ食材〟を使うことで、ナパワインの裏に隠れている様々な要素が発見できますので、一覧表を参考にしながら、料理とワインのペアリングをお楽しみください!


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ディズニーゆかりの『シルヴァラード・ヴィンヤーズ』&新AVAクームスヴィルの『GEO』 [来日したワイン生産者&関係者]

ウォルト・ディズニーの娘ダイアンと夫ロンが設立したワイナリー『シルヴァラード』

ロゴが映える木目の質感、自然体のシルヴァラード・ヴィンヤーズ

9日の成人式では浦安の東京ディズニーランドで、1900名余りの新成人がおなじみのキャラクターたちに門出を祝福されていました。
今回ご紹介するのは、そのディズニーゆかりのワイナリー&ワインです。

1981年、ウォルト・ディズニーの娘ダイアン・ディズニー・ミラー(2013年11月逝去)と夫ロン・ミラーによって設立されたカリフォルニア州ナパ・ヴァレーのシルヴァラード・ヴィンヤーズ
ワイナリーはスタッグスリープ・ディストリクト(以後SLD)の中心にあるシルヴァラード・トレイル近くの小高い丘に位置し、リリースするすべてのワインは6つの自社畑(植樹面積は約180㌶)のぶどうだけで生産しているエステート・ワイナリーです。ネーミングは廃鉱となってしまった〝銀の鉱山〟に由来しています。

SLDはナパ・ヴァレーで最も有名な銘醸地の1つで、この地で造られたカベルネ・ソーヴィニヨンが1976年のパリ・テイスティングで、フランスの1級シャトーを抑えて第1位に輝いた『スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ』に使われていたことはよく知られています。

16歳の少女を魅了したパリでのロゼ体験


昨秋来日したラス・ワイス総支配人はダイアンさんが、ワインに興味を持った経緯について、「16歳の時に両親から誕生日プレゼントについて聞かれた彼女はパリ旅行を希望します。念願叶ってパリを訪問した時、小さなカフェでロゼワインを口にするのですが、そこで〝ワインはぶどうから造られているのに何故イチゴのような香りがするのか〟と疑問に思い、その魅力に惹かれて、後年、ワインにかかわることになります」と説明していました。

ワイナリーのオーナーになったミラー夫妻は1983年に最初のヴィンテージ1981をリリースします。しかし、カリフォルニアは80年代後半にぶどう害虫のフィロキセラ禍が広がり、本拠地SLDにあるシルヴァラード・ヴィンヤーズのぶどう樹も大打撃を受けます。

そこで新たな畑を購入する必要に迫られ、入手したのがクームスヴィルにあるマウント・ジョージHPのvineyardsからMt.Georgeに)でした。

2011年にAVAに昇格したクームスヴィル


AVA(政府公認の栽培地域)申請でリーダー的役割を果たしたワイス総支配人は承認されるための3つの条件について言及
■産地としての歴史
クームスヴィルにおけるワイン造りの歴史は1840年にスペイン人によって植樹されたところからスタートします。1849年からのゴールドラッシュで欧州から多くの移民がやってきますが、ぶどう栽培やワイン造りに関わる人たちも現れます。1868年にはウイリアム・ウッドワードによってマウント・ジョージの畑に初めてぶどう樹が植えられました。1880年代に醸造・栽培のパイオニアとして活躍していたヘンリー・ヘイゲンは銘醸畑〝シーダーノル〟から卓越したワインを生産。1889年にエッフェル塔建設を記念して開催されたパリ万博でのワイン品評会で、第2位の快挙を成し遂げます。あのパリ・テイスティングを遡ること87年前の出来事です。

クームスヴィルは1862年にヴィニフェラ種が最初に植えられた歴史ある産地で、禁酒法時代(1920年~33年)の後、畑は荒廃しますが、1987年にミラー夫妻がかの銘醸畑〝シーダーノル〟の大部分を購入し、今に至っています。ちなみに シルヴァラード近隣のワイナリー(スタッグスリープ・ワイン・セラーズ、シェーファー、ファニエンテ等)もかなり前からクームスヴィルに畑を所有していました。まさに知る人ぞ知るエリアだったと言えます。

■気候の独自性
夜中の2時くらいに霧が入り込み、11時くらいには晴れるカーネロスと似た気候。冷涼な産地で本拠地SLDより、2週間遅れの収穫。マウント・ジョージは山に囲まれている劇場型の地形で、高低により植樹する品種は異なり、高い斜面にカベルネ・ソーヴィヨン、その下にメルロとカベルネ・フラン、暖かなエリアにシラー、カーネロスに近い涼しい場所にはシャルドネとピノ・ノワールを栽培しています。高い場所は西日が、畑に散在する石ころを温めてくれるので、陽が落ちた後も、暖かさを保てます。雨季(11月から3月)には500ミリの降雨

「メルロは暖か過ぎるとフェノールの熟度があがる前に糖度があがり過ぎてしまう。涼しい環境下で育てることで糖分と同時に皮や種の熟度があがっていくのでメルロに最適」とワイス総支配人

■土壌の独自性
土壌はクームスヴィル・グラヴェリー・ロームと呼ばれる特殊なもので、カコウ岩&頁岩&ツーファ(石灰岩の一種。多孔質炭酸石灰の沈殿物)から構成されています。ツーファは水分をキープできる利点があるので、灌漑は不要。畑のぶどう樹はツーファのおかげで健全に育っています。

ギリシャ語で〝地球〟を意味するGEO
クームスヴィルのメルロはシングル・ヴィンヤードとしてリリースされています。年間3,000~4,000ケース。同エリアで栽培されているカベルネ・フラン、マルベック、プティ・ヴェルドはSLDのシルヴァラードのカベルネ・ソーヴィニヨンにスパイスを加えるような役割でブレンドされています。また、シルヴァラード・ヴィンヤーズではプレスワインはほとんど使わないのでワインに骨格を与える役割はプティ・ヴェルドが担っています。

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ヴィンテージの差がないと言われがちなカルフォルニアワインについて、ワイス総支配人は#1~#3を例に言及
#1:2009 メルロ マウント・ジョージ マグナム
メルロ97%、カベルネ・ソーヴィニヨン3%
クラシカルな年。パワフル、果実のキャラクター、凝縮感のあるワイン
#2:2011 同上 マグナム
メルロ100%
雨に悩まされた涼しい年。収穫は雨が降る前に終了したが生育期間が短かくなった分、黒系果実ではなく、赤系果実を連想させるワイン
#3:2012 同上 クームスヴィル
メルロ95%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%
暖かな年。果実の旨味、味わい滑らかで、タンニンはソフト
ジューシーで親しみを感じさせるワイン


2011年に昇格した新AVAクームスヴィル。2012年ヴィンテージからラベルに表記しています。シングル・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨン『GEO』は1987年にクームスヴィルの畑を購入し、ちょうど20回目の収穫となることを記念して初リリースしたワイン。現行ヴィンテージの2013年は1月に日本上陸したばかり、ただ今、発売中(13,000円)
#4:2011 カベルネ・ソーヴィニヨン マウント・ジョージ マグナム
カベルネ・ソーヴィニヨン92%、プティ・ヴェルド8%
冷涼年。枯葉、タバコ、スパイス、繊細な酸、ハーブ的なニュアンス
#5:2012 GEO クームスヴィル マグナム
カベルネ・ソーヴィニヨン98%、カベルネ・フラン2%
暖かな年。カシス、ブラックベリー、甘草、木目細かなタンニン、丸みのある味わい
#6:2013 GEO クームスヴィル マグナム
カベルネ・ソーヴィニヨン88%、プティ・ヴェルド12%
スーパーストラクチュア、凝縮感、芯のある酸、長期熟成が期待できるワイン

ワイス総支配人は「クームスヴィルのワインの特徴は何と言っても酸のエネルギー。酸があるので果実が引き立ち、複雑味が出てきます。余韻にも綺麗な酸が出てきます」とコメントしていました。
ギリシャ語で〝地球〟を意味するGEO、マウント・ジョージ〝George〟にもかけたネーミング。故ダイアンさんが恋したナパ・ヴァレーのワイナリー『シルヴァラード・ヴィンヤーズ』の意気込みを感じます。

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セミナーの後のディナー会場はアマン東京33階のレストラン、スカイツリーも視界に
天井が高く、贅沢な造りの空間

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左から
■2015 ソーヴィニヨン・ブラン ミラー・ランチ ナパ・ヴァレー 3,300円
ソーヴィニヨン・ブラン93%、セミヨン7%
■2014 シャルドネ ヴァインバーグ・ヴィンヤード 4,300円
シャルドネ100%
■2013 ジンファンデル ソーダ・クリーク ナパ・ヴァレー 6,400円
ジンファンデル100%
■2012 カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 7,000円
カベルネ・ソーヴィニヨン81%、メルロ15%、プティ・ヴェルド4%
■2012 ソロ カベルネ・ソーヴィニヨン スタッグスリープ・ディストリクト 14,000円
カベルネ・ソーヴィニヨン100%
UCデイヴィス校の観察と研究の結果で、このカベルネ・ソーヴィニヨンはSLD唯一のヘリテージュ・クローンであることが判明。プラム、カシス、レッド・カラントの香りが特徴。複雑味のある果実としなやかな舌触り、厚みのある骨格のワイン。クームスヴィルのカベルネと双璧になるワイン


鰆のカルパッチョ チコリーとリンゴのサラダ オシェトラキャビア添え


バカラマンテカート ポレンタとグリーンアスパラガス


タイムが香るタリオリーニ ズワイ蟹とカリフラワー


糸撚魚と帆立と貝のソテー 茄子のフォンデンテと長芋 ペーストジェノベーゼ


山梨県中村農場産甲州頬落鶏のロースト ポルチーニ茸と根セロリのピュレ バルサミコ酢のアクセント


モンテビアンコ ロビオラチーズのジェラート



すべてが終わってロビーでラス・ワイス総支配人のワン・ショット

ロバート・モンダヴィでインターナショナル・マーケットを担当し、カリフォルニアのワイン産業を知り尽くしたワイス総支配人。新ワイン『GEO』にかける期待は大きいです。

シルヴァラード・ヴィンヤーズおよびGEO2013への問い合わせ
ワイン・イン・スタイル ℡03-5212-2271

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贅沢なマリア―ジュ! シチリア『タスカ・ダルメリータ』 × 銀座『久兵衛』 [来日したワイン生産者&関係者]

アルメリータ伯爵家の7代目アルベルト・タスカダルメリータ当主
シチリアのタスカ・ダルメリータから7代目のアルベルト・タスカダルメータCEOが来日しました。
同カンティーナの創業は1834年、シチリアにおける農業改革に大きく貢献し、2代目のルチオ氏の時にアルメリータ伯爵の称号を授与されています。
1957年、祖父ジュゼッペ伯爵が当主になってから、ワインビジネスの再構築を開始、高品質なワイン造りに着手し、高評価を得るようになります。ファミリーは〝伝統を引き継ぎ明日への扉を開く〟をモット―にしています。

日本の自然、伝統を愛するアルベルトさんは定期的に訪日し、その折には「日本の名店の味」を研究しているようです。今回は和食の旨味とご自身のワインとの相性を探るということで、銀座『久兵衛』でマリア―ジュを楽しみました。

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(右から左の順に供出)
#1:テヌータ・レガレアーリ アルメリータ・ブリュット2013
パレルモとカルタニセッタの境、約500㌶を所有
#2:グリッロ・モツィア2015(日本未入荷
アルメリータ・ブリュットとグリッロ・モツィアについては10月27日付のワインのこころで紹介しています。ご笑覧いただけましたら幸いです。

#3:カポファーロ ディディメ2014
エオリア諸島にあるサリーナ島に約5㌶を所有。マルヴァジア100%のワイン。パッシート(収穫したぶどうを棚で陰干させ糖度をあげる)の甘口ワインを生産していましたが、ある時、豊作だったので、それを機に辛口ワインを生産。ワイン名はサリーナ島のかつての呼び名(双子の意味)にちなんで命名。第一香は控えめながら、ミネラル豊か、アフターに残るビター感が好印象。

ディディメと和食との相性チェックをしているタスカ・ダルメリータPRジャパンの山田久扇子さんからは「苦みのある春野菜や貝のお刺身に合います」とのアドバイスがありました。イカ、ウニはもちろん、わかめに合わせることで、より香りが引き立つ印象でした。

#4:テヌータ・レガレアーリ ノッツェ・ドーロ2013
アルベルトさんの祖父ジュゼッペ伯爵と妻フランカさんの結婚50周年を祝した〝金婚式〟と命名されたワイン。同カンティーナを象徴するアイコンワイン。ぶどう品種はインツォリア72%、ソーヴィニヨン・タスカ28%。ソーヴィニヨン・タスカは1830年にエステートを購入した際、畑のなかから偶然見つけたぶどう。当時はソーヴィニヨンとかグレカニコとか呼ばれていました。専門家の鑑定でも100%出自が判明せず、ソーヴィニヨンの亜種であり、タスカの畑にあったソーヴィニヨンなので、現在、このように呼ばれています。畑は海から離れた内陸にあり、標高は450~800m。夏は昼夜の差が25度にもなるので、フレッシュで酸味を備えたぶどうが収穫できます。

#5:テヌータ・タスカンテ イル・タスカンテ2011
欧州最大の活火山エトナ山麓のシャラノヴァとボッカドルツォに18㌶の畑を所有。土壌の構成は火山が噴火した時期によって異なるので、変化に富み、多種多様。ぶどう品種はネレッロ・マスカレーゼ100%。シチリアは太陽の光が強いので標高が大事。畑は700~800m、エトナ山は急傾斜なので、地面が崩れないように段々畑にして耕作。ぶどうの根が地面から出ないようにするため、作業には苦労が伴います。収穫時に機械は使えませんし、同じ園内でも若干の標高差で収穫のタイミングは異なります。
発酵はステンレスタンク、熟成はスラヴォニア産の3000Lの大樽で約18ヶ月、MLF有。

ネレッロ・マスカレーゼとエトナの土壌との相性はピノ・ノワールとブルゴーニュ、ネッビオーロとバローロやバルバレスコの関係と似ていて、この品種を他の地域に植えてもワインに複雑味は出ないそうです。『イル・タスカンテ』はプロからの高い評価を得ています。その理由は「しっかりしたボディでアルコール度数が高いワインと形容されるシチリアワインと一線を画すスタイルだから」というのがアルベルトさんの分析。


凛としたスタイル、シャルドネ100%のスプマンテ

祖父が友人たちにプレゼントするために造ったという『アルメリータ・ブリュット』

フェニキア人の歴史を感じるモツィア

包容力のある味わい、和の素材に最適!
余談ですが、フェニキア人の主要産業は繊維業だったそうで、ポルポラ貝から取れる赤みがかった紫色の染料は貝をつぶして色を抽出して、その緋色は高貴な色として珍重されていたとのこと。フェニキア人の素晴らしい知恵を感じます。

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醤油とダシの旨味が効いたいくらの醤油漬けは、スプマンテの旨味と混然一体、文句なしのハーモニー。わかめとモツィアは海繋がりを感じる組み合わせで、すんなり馴染めました。


穴子のクリーミーな食感はスプマンテのなめらかさと◎


穴子の肝は合せた後、口中に残る生臭さが気になりました。当日は登場しなかったピノ・ネロ100%の『アルメリータ ロゼ・ブリュット』なら、タンニンがあるので、臭みを消し去ってくれるのでは、と思っています。

カウンター越しに

整然とした調理姿

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繊細な作業、職人芸


脂が乗ったカツオはスプマンテより、ボディのあるワインに合わせて!
「ガリには酸味があり、口のなかをさっぱりさせてくれる効果があります。ただ、ワインも酸味があり、口中を洗い流してくれるので、役目が重なり、ワインとガリを合せるのはなかなか複雑」とアルベルトさん。

ノッツェ・ドーロと
豊かな芳香、ミネラル、鉄分、温度変化で複雑味が広がる魅力
雲丹、マグロなどの高級食材と相性良好
アルベルトさんは「背骨がぴんと伸びたワイン」と表現!


視覚からおいしさが伝わってくる雲丹


口中でとろける食感

唯一の赤ワイン『イル・タスカンテ』
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色調は濃くはありませんが、タンニンがしっかりしているので、ワイン・メーカーとしては、この頑強なタンニンをいかに扱うかがポイント

光りものは



料理と合せて本領を発揮する『イル・タスカンテ』は個性のある味の食材がお薦め
光もののコハダやサヨリ(味わいは淡泊でしたが)とは予想外の相性の良さでびっくり!

久兵衛の3代目今田景久さんと
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銀座『久兵衛』の3代目今田景久さんとアルベルトさん
3代目の〝おもてなしのこころ〟、この日はワインのサービスもしてくださいました。

アルベルトさんが強調していたのが〝シェフこそアンバサダー〟という言葉。「ワインの造り手と料理人が一緒に考えていくことが大事であり、料理人が情熱をもってくれると、より楽しい作業になる」と。
アルベルト・タスカダルメータCEO、コーディネートしてくださった山田久扇子さん、贅沢な時間を共有させていただきました。ありがとうございました!

製品についてのお問い合わせは
■タスカ・ダルメリータPRジャパン ℡03-3461-2383
■(有)エトリヴァン ℡045-574-9815
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初来日したモンテス親子が語るチリのスーパー・プレミアム・ワインの世界 [来日したワイン生産者&関係者]

〝プレミアムなワイン造り〟を実現させたモンテス
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1988年、サンチャゴから南に180km行ったところにあるコルチャグア・ヴァレー。ここを拠地にして創業したMontesは同じ夢を抱いていた4人の男たちが立ち上げたワイナリーです。
アウレリオ・モンテス・シニア、ダグラス・ムライ、アルフレド・ヴィダウレ、そしてペドロ・グランデ。
彼らの夢、それはチリを代表するプレミアムワインを造ることでした。そして今、モンテスはエントリーレベルのワインから世界レベルのワインに至るまで幅広いレンジを有し、チリ国内のみならず、世界でも広く知られるようになっています。

モンテス親子初来日!
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今月初旬、輸入元エノテカの招聘で、モンテス社から創業者のアウレリオ・モンテス・シニア&後継者のアウレリオ・モンテス・ジュニア親子が初来日し、スペシャル・ディナーで過去、現在、未来について語りました。

シニアの夢を辿ると、修道士、消防士、医者、そして21歳の時にはワインメーカー。ワイン界に参入して、夢の実現のために設立した醸造施設はガレージワイナリーのような形態で、何から何まで手作業でした。当時10歳だったジュニアは「大きな変化を感じています。今のワイナリーはモダンでハイテク」とコメントしていました。

シニアは「人と同じことをやるのが嫌いです」と語っていましたが、1994年には丘陵地を開拓し、ぶどう畑に。チリでは平地での栽培が一般的だったので、周囲から異端視されたそうです。現在、素晴らしい出来のぶどう、高品質のワインを生産しているモンテス、見事な展開です!

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「親子で働いていますが、ふたりの情熱をシェアできることが幸せ」とジュニア
「世代交代は進めていきたいし、ワイン造りでもまだ息子に伝えたいことがあります。自分も重責を担っているので、息子が良いワインメーカーになって欲しいと思っています」とシニア

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シニアの朋友、パトリシオ・トーレス駐日チリ大使もお祝いに駆けつけ、エールを送りました。
「その昔、エノテカ主催のディナーでモンテス・アルファ・エムを初めて味わいました。ファースト・ヴィンテージの1996年で、とてもラッキーでした。当時チリワインは第5位か第6位に甘んじており、特にチリのスーパー・プレミアムワインについては全く認知されていませんでした。昨年チリワインが輸入量No1になりましたが、高品質のモンテスはチリワインに深く貢献しています。来年は日本とチリの国交樹立120周年になりますので、モンテスで乾杯しましょう!」

映像を見ながら~過去・現在・未来~
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モンダヴィに会ってジュニアが開眼した歴史的瞬間の写真

ジュニアは父親の情熱を感じ、ワインに興味は持っていました。息子にワイン造りを強要しなかったシニアですが、世界的にもハイテクで素晴らしいワイン造りをしているカリフォルニアのナパに息子を連れて行けば、「気持ちに変化が起きるのではないか」と思い、家族で出かけます。そして、故ロバート・モンダヴィとの出会いにより、ジュニアはワインに開眼。ワインメーカーとして生きることを決意します。

その後、彼は片道切符で豪州に向い、ローズマウントとケープメンテルで奮闘。現地での経験がモンテスの息子としてではなく、醸造家としてのジュニアを誕生させることになります。

余談ですが、前のブログに、故ロバート・モンダヴィから強い影響を受けたエラスリスやルーウィン・エステートのことを書きましたが、今回モンテス・ジュニアの話を伺い、再度、モンダヴィの偉大さを感じています。

アルゼンチンのカイケンで
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モンテスがアルゼンチンに所有するカイケン

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Photo by F. AOKI (2013年9月撮影)
パタゴニア上空を飛行しながらチリ・アルゼンチン間を往来する雁、可愛いシンボル〝カイケン〟

ジュニアは2007年からモンテスの醸造責任者として参画、2011~2015年にはカイケンを担当。アペリティフで供出されたKAIKEN BRUT NV(カイケン・ブリュットNV)も生産しました。2016年以降は定期的に世界各国のマーケットを回りながら、モンテス・カイケンのプロモーション活動にも従事しています。

シニア会心のアイテム、モンテスのスパークリング
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ディナーのウエルカムドリンクとして登場したのは、シニアが満を持して生産したMONTES SPARKLING ANGEL NV(モンテス・スパークリング・エンジェルNV)。ジュニアのカイケン・ブリュットと対(品種&ブレンド比率)をなしています。
ワインのこころで2アイテムを紹介していますので、ご笑覧いただけましたら幸いです。

スペシャル・ディナーはエアーズの料理で
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鮑の粕漬 檜の香り 燻製セミドライトマトを添えて

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仔羊のサルシッチャを包んだラヴィオリと蕪のステーキ ファンデュータ仕立て

MONTES ALPHA SPECIAL CUVEE SAUVIGNON BLANC 2014 (モンテス・アルファ スペシャル・キュヴェSB2014)
海に近いエリアのワイン、ステンレスタンクだけを使うことで、フレッシュさを表現。「ワインは喜び、情熱を表現するために樽は使わない」とシニア。加えて、「鮑とSBのシャープな酸味が良く合っていました」と。
KAIKEN ULTRA CHARDONNAY 2014(カイケン・ウルトラCH 2014)
フレンチオーク30%、ステンレスタンク70%のワインをブレンド、果実味を生かした造り。カイケン・ブリュットと同じく畑の標高は1000m以上。冷涼エリアで、土壌は石灰岩、ワインから土壌由来のミネラルを感じます。

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(左から)
MONTES TAITA 2009(モンテスタイタ2009)、KAIKEN MAI 2012(カイケン・マイ2012)、MONTES PURPLE ANGEL 2013(モンテス・パープル・エンジェル2013)

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ボルドー原産のカルメネールはチリの気候風土と相性が良く、熟度の高いぶどうが収穫できます。カルメネールは冷涼なエリアと温暖なエリアとでは香り、味わいに違いが出ます。パープル・エンジェルはカルメネールを92%使いますが、海寄りの冷涼エリアと内陸の温暖なエリアのカルメネールを半分ずつ使用。残り8%はPVを使い、ワインに骨格を与えています。

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鰻の白焼き カカオの香る鰻だれ カシスのアクセント
デミカップのなかにはカカオとバジルのソースが入っていて、このソースを鰻にかけて

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ボトルには見事な細工の天使

タイタのブレンドの割合は
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タイタ CS2009
シニアは創業者のひとり、ダグラス・ムライさんと傑出したワインを造ろうと決意。ジュニアもワイナリーに入っていたので、3人でベストなワインを造るためのリサーチを行い、特別な場所を発見します。地質の起源はジュラ紀(2億万年以上前)に遡る沖積層の土壌で、構成は粘土と石灰岩。粒が小さく、アロマ豊かなぶどうができることがわかりました。チリのCSの特徴、テロワールの違い、味わいの違いを表現したワイン。
基本的にCS85%、残りの15%は秘密。その年によって醸造家が判断、シラーやメルロを使うとのこと。フレンチオーク18ケ月熟成、4年間の瓶詰期間を経てリリース。
〝タイタ〟とは、父親や祖父のことで、年長者の知識を持って息子、次世代を育てることを意味する言葉のようです。

スーパー・アイコン・ワイン
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モンテスの25周年を記念して誕生したタイタ
濃厚な赤紫色、ベリー系果実の凝縮感、ヴァニラ、ココア、黒鉛、甘草、木香、長い余韻

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黒毛和牛フィレ肉のソテー プルチーニモンテスソース
何と、このソースはマイとパープル・エンジェルを使った豪華版でした!

デザートは紫の天使
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メニューにはなかったサプライズ!
パープル・エンジェルに合わせて〝紫の天使〟をイメージ。天使は紫いも、羽根はホワイトチョコ、添えてある季節の果物のコンポートには3種の果実を使っていますが、柿にはパープル・エンジェル、梨にはモンテス・アルファSB、ぶどうはスパークリングワインで それぞれコンポートしてありました、贅沢!

次世代に夢をつないで
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モンテスの『Where Angels Trend The Story of Vina Montes』の序文は英国のヒュー・ジョンソンが書いています。アウレリオ・モンテス・シニアは冒頭のあいさつで、ジョンソンが「モンテスは無からスタートして、次第に品質をあげ、夢を実現させたワイナリーのひとつ」と表現したその部分を紹介、ドリーム・カム・トゥルー!

初来日したモンテス親子のワインへの情熱、次世代への継承、モンテスの自負を強く感じました。
最新アイテム、スーパー・アイコン・ワイン『タイタ』には愛を込めて、伝統をスムーズに継承していく意味がありますが、まさに、チリのモンテスの未来は〝タイタ〟そのものです。
製品についてのお問い合わせはエノテカ(株)ワインショップ事業部℡03-3280-6258
ワインの購入はエノテカ オンライン

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豪州ルーウィン・エステートの歩みとアートシリーズ(CH&CS)オールドVTを利く [来日したワイン生産者&関係者]

オーストラリアが誇る家族経営ワイナリー
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ルーウィン・エステート創設者デニス・ホーガンさん(CH2012)&共同最高経営責任者シモーヌ・ホーガン・ファーロンさん(CS2012 )。「お好きなボトルを持って」とお願いしたところ、ともに2012VTを選んでいました!

ヴィレッジ・セラーズの招聘で、先月、オーストラリア・西オーストラリア州マーガレット・リヴァーのルーウィン・エステート(以後ルーウィン)からホーガンさんと愛娘シモ-ヌさんが揃って来日。新丸ビルのソルト バイ ルークマンガンで、プレスランチョンを行いました。

1973年、デニス&トリシア・ホーガン夫妻によって設立されたルーウィン。彼らのリタイア後、長女シモーヌさんと長男ジャスティンさんが共同最高経営責任者に就任、今はシモーヌさんのお嬢さんも参画しています。

西オーストラリアの自然条件
西オーストラリアのマーガレット・リヴァーは州都パースから南に280km、風光明媚な場所でサーフィンのメッカとして良く知られています。穏やかな海洋性気候、冬から春にかけての降雨が多いので、ぶどうの生育期に降ることはきわめて稀。夏期の平均気温・最低気温はボルドーに近いのですが、気候は安定しているので、ぶどう栽培に適しています。地質は世界で最古のもののひとつ、カンブリア紀以前(5億4000万年以前)の花崗岩が風化した土壌でミネラル分が豊か。

ルーウィン・エステートについて
ルーウィンの初ヴィンテージ(VT)は1979年。1980年にアートシリーズのシャルドネ1982がワイン誌『デキャンター』で最高得点を獲得したことで世界的な注目を集め、ここからルーウィンの輝かしい歴史が始まります。

アートシリーズは同ワイナリーのトップレンジで、ワインを〝アート〟と捉え、毎年オーストラリアの気鋭のアーティストのオリジナル作品を購入してラベルに使用しています。

チーフワインメーカーは現在までに3人が担当。常時3名ほどのワインメーカーが勤務しています。初代はボブ・カートライトさんで20年間勤務、2代目はポール・アトウッドさん、2010年からは3代目のティム・ラヴェットさんが引き継いでいます。栽培担当も同様で重なる時期をおきながら継続する体制を取っています。ちなみに西オーストラリアのワイン生産量は豪州全体の3%、同プレミアムワインは20%、ルーウィンの生産量は全豪州の0.06%で輸出相手国は世界30ヶ国。

故ロバート・モンダヴィとの出会い

画像提供:ルーウィン・エステート
ワイン指導をするモンダヴィとホーガンさん、お若い!

ここ2ヶ月間に来日したワイン関係者のなかで、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーの創始者故ロバート・モンダヴィとつながりある方々が多かったので、改めてモンダヴィの凄さを実感しました。
チリのエラスリス、チャドウィック当主はモンダヴィとのジョイント・ベンチャーで『セーニャ』を誕生させましたし、Yoshikiプロデュースの『Y by Yoshiki』のワインメーカーはモンダヴィの孫ロブ・モンダヴィJr.(父はマイケル・モンダヴィ)でした。今月来日が予定されているディナ・モンダヴィはロブの実妹で、現在マイケル・モンダヴィ・ファミリー・エステートで活躍しています。

ルーウィン・エステイトの場合は、1973年にホーガン・ファミリー所有の牧草地を買収するために来訪したモンダヴィから、ぶどう栽培に適した土地であることを聞き、それを機に自力で畑を開墾。モンダヴィは買収をあきらめ、ルーウィンのワイン指導を快諾。1974年にCH、CS、PNとシラーズの植樹を開始します。モンダヴィはCHに最適な畑の場所や〝量より質を重視したワイン造り〟を細かく指示し、若きホーガンさんに多大な影響を及ぼしました。チリや豪州に素晴らしい足跡を遺したカリフォルニアワインの先駆者モンダヴィ、先見の明のある偉大な方でした!

テイスティングはシャルドネとカベルネに特化
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アートシリーズから2品種シャルドネ&カベルネ・ソーヴィニヨンを選択。世界的にも高く評価されている2012年ヴィンテージ(9月に日本初リリース)と10数年以上を経たオールド・ヴィンテージ(VT)を試飲。

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(左から供出順)
ウエルカム・ドリンク
#1:シブリングス・ソーヴィニヨン・ブラン・セミヨン2015
ぶどう品種:SB68%、セミヨン32%
発酵はステンレスタンクと4年使用のフレンチオーク(40%)を併用。フレッシュ& フルーティ、ライム、レモン、GF、ガヴァや青リンゴ、青草のニュアンス、セミヨン由来のほど良い厚みと爽やかな酸とミネラル感、バランス良好。シブリングスは〝兄弟姉妹〟を意味し、2代目のシモーヌ&ジャスティンの気持ちを表現したワイン。
「シラーズを植えていた畑は白い砂質土壌だったので太陽の反射熱がシラーズに合わず、全て引き抜いてSBに植え替えました」とシモーヌさん。結果的に成功したようです!

シャルドネ
#3:アートシリーズ・シャルドネ2002
#2:同2012

カベルネ・ソーヴィニヨン
#4:アートシリーズ・カベルネ・ソーヴィニヨン2012
ぶどう品種:CS100%
#5:同2001
ぶどう品種:CS86.4%、マルベック9%、PV4.6%
#6:同1993
ぶどう品種:CS87.5%、マルベック7%、PV3%、ME2.5%
#4はSC、#5&#6はコルク(コルク仕様のものは1時間前にデキャンターを実施)

10年違いのシャルドネ比較
「力強さのなかにいかにエレガントさを表現するか」、「味わい深く、余韻の長いワインスタイル」が目標。樽に関しては25の樽メーカーを扱っていますが、コアは8つで、 毎年相談して樽を選択。クローンはぶどうの房が均一でないジンジンクローン(=メンドーサクローン)を使用、これは検疫が厳しい西オーストラリア州政府の推薦だった由

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アートシリーズのCHはパワーのある果実なので2012年は11ヶ月樽熟(100%新樽)。色調は輝きのあるイエロー、凝縮感があり、洋梨やネクタリン、ナッツ、スパイス(シナモン)、ミネラル、ふくよかで余韻も長い。エレガントでモダンなスタイル。
2002年は黄金色、第一香は控えめ、ドライフルーツやイチジク、ハチミツ、黄金飴、温度変化で熟した白桃、スパイス(白胡椒)、熟成した白カビチーズ、口中クリーミー、ねっとり感と長い余韻。フードフレンドリー!

2012年、2001年、1993年のカベルネの変遷
黒ぶどうの畑選びでは試行錯誤の繰り返しだったそうですが、2001年にレッドワインニュープロジェクトを立ち上げ、トライアルを実践。3VTの違いから良い結果が出ていると感じました。

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2012年は21ヶ月樽熟(40%新樽)。深みのある赤紫色、ブラックカラント、チェリー、甘草、丁子、黒鉛、ロースト風味、柔らかなタンニン、洗練されたスタイル、ポテンシャルあり!
2001年はプロジェクト直前のVT。9ヶ月樽熟。果実の要素(カシス、プラム、チェリー)もあり、後に続く心地良い酸味、木目細かなタンニン、バランスが良く、フランス的。今飲んでおいしいワイン!
1993年は2年間樽熟(30%新樽)、オレンジを含んだガーネット。若干ブレッド、ユーカリや青草、甘草、タバコ。タンニンはワインに溶け込みスムース。先の2つと比べると少し田舎風。

シモ-ヌさんのお気に入りは2006年VTなのですが、「記憶に残る冷涼年で、ぶどうはなかなか熟さす、今まで経験がなかった年でした。除葉を必死になって行いました。通常は4月後半の収穫ですが、2006年は5月8日。プロジェクトのひとつの形が出た年です」と語っていました。2006年VT、いつか、味見したいです!

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ひよこ豆の豆腐仕立て(茶碗蒸しのような食感)が熟成したCHの滑らかさと絶妙でした!

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メインの肉と合せて楽しめたのはCS2001
10年以上の熟成を経たフードフレンドリーな味わい!

おしゃれなデザートと合せて
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ショコラとCH2002のテクスチュア、ワインのなかのロースト風味がとても良い相性でした!

マーガレット・リヴァーの地に魅せられたホーガンさんは公認会計士からワイナリー当主となり、著名なジェイムズ・ハリデーさんから「オーストラリアが誇る最高の家族経営ワイナリー」と評価されるまでになりました。ホーガンさんの当初の目標〝最高のワイン造りを目指して〟を合言葉にして、2代目、3代目が頑張ると思います。ますますの躍進を期待しています。
オールドVTのストック等、商品についてのお問い合わせは
ヴレッジ・セラーズ℡0766-72-8680
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Look Back in Wonder ~1976年パリ・テイスティングと2004年ベルリン・テイスティングを振り返る~ [来日したワイン生産者&関係者]

世界のワイン界を驚愕させた出来事
ひとつは、当時無名に近かったカリフォルニア州ナパ・ヴァレーのワインがフランスの銘醸ワインを抑えて、白&赤ともに第1位になった「1976年のパリ・テイスティング」。もうひとつはベルリンを舞台に行われたブラインド・テイスティングで南米チリの赤ワインがボルドーの第1級格付けワインに圧勝した「2004年ベルリン・テイスティング」です!

当事者ふたりが語る歴史的テイスティング
アカデミー・デュ・ヴァン東京校が主催した『Look Back in Wonder』で、仕掛け人であるおふたりから当時の背景、エピソード等について伺うことができました。まさしく貴重な歴史の証人!

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スティーヴン・スパリュアさん&エデュアルド・チャドウィックさん

パリ・テイスティングの主宰スティーヴン・スパリュアさんは1972年にアカデミー・デュ・ヴァン(ADV)のパリ校創設、同東京校は1986年オープン。デキャンター誌のコンサルタント・エディター、デキャンター・ワールド・ワイン・アワードのチェアマンとして活躍中

ベルリン・テイスティングの主宰エデュアルド・チャドウィックさんはヴィーニャ・エラスリス社長、ヴィーニャ・チャドウィック創業者・社長、ヴィーニャ・セーニャ共同創立者として世界レベルのチリワインを伝道中


記念すべきヴィンテージも登場!
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スパリュアさんがイギリスで生産しているスパークリングも披露されました!

第1フライトはパリ・テイスティング、第2フライトはベルリン・テイスティング
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左から順に#1~ #12

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(左から順に)第1フライト 6本、第2フライト 6本

1976年の出来事に至るまでの裏話
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スパリュアさんはパリでワインショップ『カーヴ・ド・ラ・マドレーヌ』を経営しており、店にはフランスの銘醸ワインを数多く揃えていました。当時パリには英語で対応できるショップが他になかったので、来店するカリフォルニアのワイン生産者たちから、「自分たちのワインを評価して欲しい」と頼まれることが多かったとか。そのような経験を通して、彼はカリフォルニアで質の高いワインが造られていることを実感します。
1975年9月、ワインショップでのパートナー、アメリカ人のパトリシア・ギャラガーさんがバカンスでカリフォルニアに行き、その折、様々な生産者を訪問します。そこで、スパリュアさんはテーマを模索。パトリシアさんからの「来年(1976年)はアメリカ建国200周年なので、それをテーマにしては」との提案を受け、1976年4月夫妻でカリフォルニアに向い、最終的にCSとCH各6本のワインを選択します。

パリでのテイスター9名はすでに決まっていました。いずれも著名な方ばかりでしたが、カリフォルニアワインを飲んだことのある人はひとりくらいしかいなかったようです。テイスティング開催の2週間前に、公平にカリフォルアワインを試飲してもらうため、店にあるワインのなかからボルドーとブルゴーニュのトップクラスのワインを選択。テイスターには事前に「カリフォルニアワインを試飲していただきます」と話していたので、テイスティング当日に「今日はルールを変えて、ブラインドでフランスワインとカリフォルニアワインを試飲していただきます」と提案。全員から「問題なし」との返答があったので、5月24日午後、アメリカ建国200周年を記念して、白と赤10種類ずつのテイスティングが行われました。

この時、スパリュアさんはブラインドで無名なワインが上位に入れば、高い品質のワインが造れられていることが証明できると考えていました。しかしながら、結果は全く予想していなかった事態に! 白も赤もカルフォルニア産が1位を独占。ワイン界を仰天させます。ワインの世界を激変させたこの出来事は以後、長く語りつがれています。※末尾のデータ参照
今年はパリ・テイスティングから40周年の記念年になります。

過去20年の変革は過去200年の変化より目覚ましい
スパリュアさんは1986年にロンドンで行われたアンティノリ設立650周年イベント(スパリュアさんは650年と発言していましたが、アンティノリの創業は1385年なので600周年だと思います)で使われていた「過去20年間のワイン界の変革は、過去200年の変化より目覚ましい」というフレーズを引用して、1976年当時まだ無名だったカリフォルニアワインの変革に言及。そして今、注目すべき変化は英国のスパークリングワインであると述べました。

英国産vsカリフォルニアのスパークリング
#1:2013 Bride Valley, Blanc de Blancs
#2:2009 JCB by Jean-Charles Boisset, No. 9 Brut Sparkling

1990年代初め、英国産スパークリング『ナイティンバー』が話題になり、その後も素晴らしい泡ものが産出されるようになります。スパリュアさんは2007年にV&Sでジャン=シャルル・ボワセさんと出会い、それが縁でプロジェクトを立ち上げ、スパークリングワイン造りに着手。妻が南ドーセットに土地を購入、2009年に植樹、ボワセさんの協力のもと、ブラン・ド・ブラン(#1)を生産。 理想は「フレッシュで、白い花を彷彿とさせるアペリティフに合うスパークリングワイン」とのこと。
南ドーセットは冷涼気候でシャンパーニュ地方と同じ石灰質(チョーク)土壌。ここではボワセさんのNo9ブリュットスパークリング(#2)との利き比べ。カリフォルニアのラシアン・リヴァー・ヴァレー内のグリーン・ヴァレーAVAのCH100%、エレガントで温かい年を反映したふくよかな味わい。

パリ・テイスティングの優勝白ワイン『シャトー・モンテレーナ』
#3:2013 Chateau Montelena Napa Valley Chardonnay
#4:2009 Chateau Montelena Napa Valley Chardonnay

「パリ・テイスティングは20点満点の採点法でした。9名のうち、6名がモンテレーナ、3名がシャローンを1位に。4年後の1980年、ロンドンで同じ銘柄(ヴィンテージは若干若い)で行ったテイスティングではシャローンが1位、モンテレーナが3位になり、2つのワイナリーには一貫性があることが証明できました」とスパリュアさん。モンテレーナはMLFをしないワインなので、フランス人の味覚にあったスタイルだったようで、2013年(#3)は若々しくフレッシュ。2009年(#4)はきれいに開いたワインで、まだ果実感もあり、エレガント

優勝赤ワイン『スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ』

#5:2013 Stag's Leap Wine Cellars S.L.V. Cabernet Sauvignon
#6:1998 Stag's Leap Wine Cellars S.L.V. Cabernet Sauvignon

「白ワインの結果でテイスターに動揺が見られ、赤ワインの審査では同じミスをしないようにしようとしていました。それにもかかわらず、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ(SLWC)が快勝。ムートン・ロートシルトと0.5点差とは言え、審査員は確実にフランスワインだと思っていたようです」とスパリュアさんは述懐。
今年の5月24日に行った40周年目の記念テイスティングでも結果は同じで、SLWCが1位だった由。「畑のぶどうをそのままワインにした印象。#5はピュアな果実味。アルコール度数が14.5%ありますが、それを感じさせないバランスの良さ。 #6 の1998年は18年経過し、カシス、胡椒、スパイスなど熟成のニュアンスを感じます」とコメント


なにごとも一番最初が大事
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チリはワイン造りの歴史はあっても、世界市場に向けての輸出は1990年からであり、日本は1995年頃で、わずか20数年しか経っていません。チャドウィックさんはチリワインのポテンシャルを理解してもらおうと試行錯誤しながら様々な挑戦をしますが成功に至らず、最終的に確固たる地位を得ているワインと比べることで存在価値を示そうと決断します。
パリ・テイスティングの仕掛人スパリュアさんを紹介してもらった彼はベルリン・テイスティングの構想を立ち上げ、テロワールを表現したワインを選択。「自分が造る5つのワインがトップ5のなかにひとつでも入れば上出来」ということで覚悟を決めテイスティングを開催。ところが1位、2位を独占する結果になり、彼自身も、スパリュアさんも、会場にいたすべての人が驚愕! この出来事も先のテイスティング同様、ワイン界の偉業として語りつがれています。※末尾のデータ参照

「ブラインドだったことに意義がある」と語っていたチャドウィックさんは、月面着陸のニール・アームストロング船長の話を例にして「なにごとも一番が肝心」と先人の重要性を力説。「チリワインがワールドクラスのワインと拮抗するまでになったことをわかってもらえました」と述べました。

ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・リザーヴ
#7:2013 Viña Errazuriz, Don Maximiano Founder's Reserve Cabernet Sauvignon
#8:1984 Viña Errazuriz, Don Maximiano Founder's Reserve Cabernet Sauvignon

エラスリスの創始者ドン・マキシミアーノは1970年にはCS100%でワイン造りをしていました。チリは東にアンデス山脈、西に太平洋があり、冷たい海流の影響を受けています。ドン・マキシミアーノのぶどう畑は海から65㎞内陸のアコンカグア・ヴァレーに位置する85㌶のぶどう畑(チリ初の斜面に耕作した畑)で、CS等ボルドー品種を植樹、灌漑(ドリップイリゲーション)を行い、沖積土壌で粘土の多い場所にはカルメネール、砂利の多い場所にはCSを。もう少し海岸寄りの冷涼エリアではSBやPNを栽培しています。
#7の2013年(CS79%、マルベック10%、カルメネール6%、PV5%)は過去10年間で一番涼しかった年。冷涼年はエラスリスの求めるワインスタイルを反映。凝縮感がありエレガント、カシスやブラックベリー、酸味があり、切れがあってバランスの取れたワイン

スパリュアさんは「2013年は素晴らしいワインです。私は2004年から見ていますが品質の向上を感じます。ぶどう畑の特徴、テロワールを反映しています。ボルドーのトップシャトーもテロワールを重視、そこではぶどうを語るより、畑をいかに表現するかです。標高は400~500㍍、素晴らしいブレンド比率で、マルベックはワインにフレッシュな果実感を、カルメネールはスパイス感、PVは力強さ。このワインはパワフルでエレガント、調和が取れていて長熟が期待できます」とコメント

チャドウィックさんは「32年経過した1984年(#8)は2回目のヴィンテージで、当時15㌶しかなかった畑のぶどうの質の高さを感じて欲しいです。1960年代のボルドーと同じ造り、今より早いタイミングでの収穫でした。今より軽いスタイル、レザーのニュアンス、酸味、複雑味」と。

2005年からビオディナミ農法を導入したセーニャ
2015年セーニャ20周年のヴァ―ティカル・テイスティング・ディナーがありました。ここでは世界市場に向けての試行錯誤、故ロバート・モンダヴィさんとの対面からセーニャ誕生までの経緯、ベルリン・テイスティングでの快挙についてチャドウィックさんが多くを語っていますので、ご一読いただけると嬉しいです。 http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2015-04-12

#9:2013 Seña
#10:2000 Seña
1995年に初めてセーニャが誕生。この時はヴィーニャ・エラスリスが所有する畑のぶどうから造りましたが、その後、海から内陸に40kmの場所に45㌶の畑を購入。岩が多い土壌で、CSやカルメネールが成熟する畑。2013年はサックリングが99点を付けています。ファミニンなワイン、エレガンスとフィネスを追及するエラスリスが、それを見事に証明したワイン。2000年は16年経過していますが、柔らかみがあり、スパイス、鉛筆、甘草のニュアンス

スパリュアさんは「2013年(#9)は冷涼年を完璧に表現したワイン。美しく、シームレス(継ぎ目がなく滑らか)。絶賛したいワイン、ワクワクするワイン。また2000年(#10)はスケールが大きなワインでリッチなスタイル。2013年と比べると2000年は温暖。フレッシュ感、果実感もあり」

ベルリン・テイスティングで活躍したヴィニエド・チャドウィック
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左が2014VT、右が2000VT

#11:2014 Viñedo Chadwick
#12:2000 Viñedo Chadwick
アコンカグア・ヴァレーから南に100km、マイポ・ヴァレーにあるプエンテ・アルトはチリの伝統的なぶどう栽培のエリアで、CSの銘醸地。1880年代からぶどう生産をしていた経緯があります。彼の父親はポロの名選手であり、競技場を所有。生涯をワインとポロにかけていました。1992年、父親がリタイアし、チャドウィックさんは会社に入社。ポロの競技場をぶどう畑にした変換した翌93年に父親が逝去。 
2014年(#11)はチリワインの歴史上の快挙100点評価。2014年は霜害を受けた年で50%の収穫減、夏は暑すぎず、ゆっくりと熟成させることができたので、カシス、ピュアな果実味 バランス良好。「2014年はまだ若さを感じるワイン。故ポール・ポンタリエさんが〝若い時に良いワインはいつまでたっても素晴らしい〟と表現していますが、このワインにはその形容がふさわしいです。偉大なワインは熟成で変化します。セーニャと比べると筋肉質、男性的、例えればラトゥール的。CS100%でこのようなエレガントさは素晴らしい」とスパリュアさん


2004年のベルリン・テイスティングで1位だった記念すべき2000年ヴィンテージ
「ブラインドでいつ飲んでもわかるワイン。残り数本となりましたが、皆さんと共有したかったので持参しました」とチャドウィックさん

12種類のそれぞれに意味あるワインをテイスティングしましたが、マイベストは2000年のヴィニエド・チャドウィック(#12)。スパリュアさんがセミナーのなかで何度か使っていた最適表現〝シームレス(継ぎ目のない)〟、滑らかな舌触り、ドライフラワー、スパイス等、複雑味のある熟成に耐えうるワイン。残り数本しかないという、2004年当時のヒーローワインを味わえたことは感無量!

ベルリン・テイスティング時の正直な気持ち
チャドウィックさんは当時を振り返って「本当にサプライズ」と表現。1回目はチリのテロワール、ポテンシャルが伝われば良いと思っていたそうです。特にフランスとイタリアのワインは2000年VTを選んでいて、シャトー・マルゴーにしてもシャトー・ラフィットにしても当時は100点をゲットしていたワインであり、それでチリのワインが1位になったのは運命だったと。

「1回目は何も失うものはなかったので、本当のチャレンジは2回目以降。1位で終わっていれば、素晴らしいストーリーで完結です。でも、2回目以降のチャレンジにはリスクがあり、正直言って怖かったのですが、ブラジルでも2位、3位を取り、日本でも1位のシャトー・ラトゥール以降、2位から5位まですべてチリワイン。ここには一貫性があり、それが真実を物語っていますし、今はそれが確信に変わっています」


この日いただいた本のあとがきは2016年6月付、何と日本語訳でビックリ! 
翻訳を担当したのは『パリスの審判』の訳者葉山考太郎さんだそうです。お疲れ様でした!

2006年に東京でベルリン・テイスティングの再現を行いましたが、当時の功労者はワインジャーナリスト、ヴィノテーク創始者の有坂芙美子さんでした。セミナーを仕切ったスパリュアさんとチャドウィックさんと有坂さんの3人が揃ったのは、東京で開催したベルリン・テイスティング10周年記念ディナー以来です。
一期一会の時間を共有させていただき、光栄でした!!!

参考データ
1976年5月24日開催パリ・テイスティングの結果
白ワインの部
1位:シャトー・モンテレーナ1973、2位:ムルソー・シャルム ギー・ルロー1973、3位:シャローン1974、4位:スプリング・マウンテン1973、5位:ボーヌ・クロ・デ・ムーシュ ジョセフ・ドルーアン1973、6位:フリーマーク・アベイ1972、7位:バタール・モンラッシェ ラモネ・プルドン1973、8位:ピュリニー・モンラッシェ ルフレーヴ1972、9位:ヴィーダー・クレスト1972、10位:デイヴィッド・ブルース1973
赤ワインの部
1位:スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ1973、2位:シャトー・ムートン・ロートシルト1970
3位:シャトー・モンローズ1970、4位:シャトー・オー・ブリオン1971、5位:リッジ・モンテ・ベロ1971、6位:シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ1971、7位:ハイツ・マーサズ・ヴィンヤード1970、8位:クロ・デュ・ヴァル1972、9位:マヤカマス1971、10位:フリーマーク・アベイ1969

2004年1月23日開催ベルリン・テイスティングの結果
主催:スティーヴン・スパリュア、ルネ・ガブリエル、エデュアルド・チャドウィック
1位:ヴィニエド・チャドウィック2000、2位:セーニャ2001、3位:シャトー・ラフィット・ロートシルト2000、4位:シャトー・マルゴー2001、同点4位:セーニャ2000、6位:ヴィニエド・チャドウィック2001、同点6位:シャトー・マルゴー2000、同点6位:シャトー・ラトゥール2000、9位:ドン・マキシミアーノ・ファウンダーズ・リザーヴ2001、10位:シャトー・ラトゥール2001、同点10位:ソライア2000


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第8回ヴェンデミア・ダルティスタ・プロジェクトで曽根裕氏が表現した『オルネッライア2013 アートラベル』 [来日したワイン生産者&関係者]

オルネッライアな一日はスペシャルなテイスティングから
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イタリア大使館の庭園に浮かびあがった〝ORNELLAIA〟の文字


今年は日伊国交150周年の記念年です!
その文化的交流の一環としてイタリア大使館で行われたのが、イタリア・トスカーナ州ボルゲリ地区の銘醸ワイン『オルネッライア2013 アートラベル』のお披露目でした。

オルネッライア2013を表現する言葉は〝エレガンス〟IMG
20周年記念&25周年記念の大容量ボトルと2013年VTの通常ボトル&アートラベル

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左から)曽根裕さん、オルネッライア社フェルディナンド・フレスコバルディ会長、オルネッライア社ジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤ代表取締役社長(CEO)

オルネッライア社では、2009年からヴィンテージの個性を讃える『ヴェンデミア・ダルティスタ・プロジェクト(イタリア語で〝アーティストのハーベスト〟の意)』を開始しています。現代アーティストに限定ボトルのオリジナルラベルを依頼していますが、2013年VTは、ロサンゼルス在住の日本人の曽根裕さんが担当しました。

曽根さんは「1年くらい前にプロジェクトに参加させていただき、とてもスムーズにコラボレーションできました。アートを創るにあたり、これまでの人生を喜び合うワインのカバーを造れたらとの思いがあり、仲間3人でワインをテイスティングするたびに深いつながりができました」と挨拶

ラベルには、現代アートの3人のスーパースター(曽根さんと友人)が揃ってピクニックをしている姿が描かれています。大理石の崖に囲まれた純白の魅力的な舞台。友人と一緒に食事をして、素晴らしいワインを飲んで、会話を楽しんだひと時からのインスピレーションがそのままラベルに描かれています。

オルネッライアからの依頼を受けた時、「行くべき場所はトスカーナ州カッカーラの大理石採石場だ」と感じたという曽根さん。そこはミケランジェロが作品に使った大理石を採石した所であり、大理石は曽根さんが長い間使ってきた素材なので、楽しく仕事ができたようです。

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同ヴィンテージのテーマ〝エレガンス〟を題材にした特別ラベル、25,000円(税抜)


7アイテムを試飲したスペシャルセミナー
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パーティーの直前に行われたテイスティングセミナー会場で

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左から)セカンドワインのレ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネッライア2013&2010、オルネッライア2013、2010、2007、2005、2002が登場

主役はエレガントさのオルネッライア2013年、比較試飲したのは2013年の特徴に似た冷涼(フレッシュ)なVT。ボルゲリは太陽に恵まれたエリアですが、気候が冷涼なときもあり、そのような年は、よりフレッシュで複雑、アロマが際立つとのこと

「セカンドワインの(#1#2)は1997年から生産。オルネッライアにするか、セカンドワインにするかは、熟成させていくなかで決定。ファーストワインより早く飲めることがメリット。とは言え、長期熟成のワインであるべき」とハインツさん

#1:レ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネッライア2013
品種:CS36% ME32% CF20% PV12% 
#2:同2010
品種:ME45% CS41% PV9% CF5%
#3:オルネッライア2013
品種:CS45% ME38% CF10% PV7%
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#4:同2010
品種:CS53% ME39% CF4% PV4%

2013年はフレッシュ、クリーンでアロマ豊か、果実の凝縮感。特にレ・セッレ・ヌオーヴェは親しみやすくチャーミング。2010年は2013年より厳格でベジタル、バルサミコ、バランス良く、落ち着きのあるVT。オルネッライアには上品さと重厚感あり

ハインツ:2013年は7月と8月は好天に恵まれ、9月と10月は涼しかったので、フレッシュさをキープしたVTに。通常のオルネッライアと比べるとカベルネ・ソーヴィニヨンの比率控えめ。2010年は2013年より冷涼だったので、ワインにも厳格なトーンがある。カベルネ・フランは難しかったので、メルローの使用が多い。ワイナリーの25周年記念になるVTで予想以上に高い評価を得た。通常オルネッライアの生産量は16万本(2013年は15万本)、レ・セッレ・ヌオーヴェは25万本

オルネッライアの真の姿を見せ始めはじめた2007年
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#5:同2007
品種:CS55% ME27% CF14% PV4%
ハインツさん好みの2007年、フレッシュでありながら偉大なVT!

ハインツ:2007年は日照度には恵まれたが、気温は冷涼だった。早熟なVTで8月から9月にかけて見事に成熟、ただ、収穫時期の温度は低め。 評価の高い2006年(2006年は〝過剰〟と表現されている偉大なVT)の陰に隠れている感あり。2007年は〝ハーモニー〟と表現されているので、フレッシュで複雑さのあるVT。2013年のエレガントさと似た特徴がある。

2007年は将来どのように熟成するかという姿を見せてくれるワイン。イタリアのワインは太陽に恵まれているので、最初は果実味が強い。2007年のように熟成することにより、今まで見えてこなかったバルサミコや塩のニュアンスが出ている。

#6:同2005
品種:CS60% ME22% CF14% PV4%
2005年1月に赴任してきたハインツさんがオルネッライアで最初に手掛けたVT
ハインツ:9月半ばまでの気候は素晴らしかったものの、収穫期後半は難しいかったので過少評価されているVT。今飲むとエレガントで滑らか

#7:同2002
品種:CS65% ME30% CF5%
ハインツ:2002年は雨にたたられ、収穫期も雨が降っていたが、そのような年ほど醸造家の腕のみせどころなので満足しているVT。生産量は11万本、深みや力強さはないが、タンニンは繊細でアロマ複雑。シルキーでまるみがあり、デリケート。食事と楽しむには最適なVT。オルネッライアではPVを2000年から2002年に植樹(2003年から使用開始、それ以前は認可品種になっていなかった


セミナー後のフォトセッション
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トスカーナ州カッラーラの大理石で造った限定ラージボトル

IMG_2254 (3) オルネッライアメンバー〇.jpg
ハインツ醸造家、フレスコバルディ会長、曽根さん、ダ・フィリカーヤCEO&オルネッライア社コミニュケーション・メディアPRマネージャーのアンドレア・オルシーニ・スカタリーニさん


ワインと芸術の融合〝ヴェンデミア・ダルティスタ〟@イタリア大使館
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ドメニコ・ジョルジ駐日イタリア大使(中央)は挨拶のなかで、日伊国交150年記念イベントは主として文化的な展覧会が多いものの、イタリア人にとってワインは歴史的な象徴であり、オルネッライアが位置するトスカーナ州は数多くの芸術家を輩出しているエリアで、風光明媚、食材の宝庫であることを強調していました。

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フルメンバー登壇
輸入元の竹内日本リカー社長(右から2人目)は「2013年VTの特徴は〝エレガンス〟、優雅さはまさに日本の文化、食文化の象徴であり、それを世界的に有名な曽根裕さんに表現していただいたことは素晴らしいコラボレーション」と挨拶

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曽根さんがデザインした特製ラベルは全部で109本のラージボトルでサイン入り。内訳は3Lのダブルマグナム100本、6Lのインペリアルが8本、9Lのサルマナザールが1本。レギュラーサイズ(750ml)の特別ラベルは6本入り木箱に1本の混載

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パーティー会場の作品前で曽根裕さんとアクセル・ハインツ醸造家・生産部門取締役

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シルクのような滑らかさの2003年、10年以上の歳月を経て本領発揮のオルネッライア

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400名以上が集った会場ではピアノ演奏も!

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豊富な食材、カラフルな彩り

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同プロジェクトではこれまでに100万€を超える収益をあげ、その金額は世界各地の様々なジャンルの芸術活動を支える財団や美術館に寄付されています。5月19日にロサンゼルスのハマー美術館で開催されたチャリーティー・オークションでは、曽根裕さんのラージボトル9本が落札され、11万4,000€がハマー美術館に寄付されました。

オルネッライアの製品についての問い合わせ先
日本リカー(株)商品部広報担当 佐々木礼子(あやこ)さん ℡03-5643-9772

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満を持して日本市場にデビューしたシャンパン 『シャトー・ド・アヴィズ』 [来日したワイン生産者&関係者]

まずはプロローグから

今年1月末(4月からのNHK文化センター青山校講座開始前のウォーミングアップ編)に〝ウチ飲みスパークリング・レッスン〟を行いました。カリテプリ、新参アイテム、私が惚れ込んでいるブランド等、世界各国から7アイテムを選んで比較試飲しました。

最終フライトとしてお出ししたのが、オーストラリアのアラス グランド・ヴィンテージ2005(青木一押しの豪州産スパークリング)、フォリアージュ キュヴェ エクストラ ブリュットNV(昨年11月日本市場に初登場したシャンパン)、キャメル・ヴァレー ピノ・ノワール ブリュット2009(マイブームは英国産スパークリング、そのなかでもお気に入りの造り手)の3アイテムでした。

いずれも酒質がきれい! 講座生の多くはアラスもキャメルもシャンパンと思っていたようです。シャンパン『フォリアージュ』は熟成感と主張し過ぎない酸が印象的でした。今回、輸入元アズマコーポレーションの招聘で初来日した醸造責任者のリデリック・ルスールさんのセミナーに参加して、シャトー・ド・アヴィズのシャンパンスタイルがよくわかりました。
以下、そのセミナーのリポートです。

『フォリアージュ』の指南役はビオディナミ農法の大家
シャトー・ド・アヴィズは2010年にシャンパーニュ地方コート・デ・ブラン地区のアヴィズ村に設立されたメゾン(NM)です。ぶどう栽培、ワイン醸造まですべての監修を行っているのはエルヴェ・ジェスタンさんで、彼は1982年から2006年まで女性オーナー、キャロル・デュヴァル=ルロワが率いる『デュヴァル=ルロワ』の醸造責任者として活躍していました。なによりビオディナミ農法&シャンパン造りに精通した人物で、1つ前のブログで紹介したビオディナミの先駆者的存在の『フルーリー』とも交流があります。


この画像はデュヴァル=ルロワの『オーセンティス・キュミエール2003』
エルヴェさんが理想とするシャンパンのひとつで、デュヴァル=ルロワに在籍していた時に造った傑作。奥行きがあり、混じりけのないピュアなシャンパン。私も大好きです!

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ラベルにあるアグリキュルチュール・ビオロジック(Agriculture Biologique:AB)はフランスを中心にしたEU諸国(オーストリア、スウェーデン等)、スイスの他、イスラエル、オーストラリア、アルゼンチン等に支部を持つ認証機関のロゴ


~ 無農薬有機栽培の葡萄畑によって、より簡単に優れたワインを造り上げるという哲学から、すべてが始まるのです。フォリアージュはそのもっとも優れた証明です。 エルヴェ・ジェスタン ~


自然を最大限に生かしたシャンパン造り

広報担当ペギーさん()とリデリック・ルスール醸造責任者(
 
リデリックさんはアヴィズの醸造学校を卒業後、ボーヌでピエール・マッソンさんを知り、ビオディナミに開眼。その後各地のワイナリーで研鑚を積み、アヴィズの醸造学校に講師として戻り、2010年から2011年の間にエルヴェさんとの出逢いがあり、彼の信頼を得て、シャトー・ド・アヴィズ プロジェクトに参入

栽培と醸造に関して
■発酵はタンクと樽(225L/ソーテルヌのシャトーから3年使用した樽を購入、入手して6~8年使用。「内部がコーティングされているので酸化の速度がゆるやか」とリデリックさん) 
■MLFは樽内で行うが、あくまで自然の成り行きに任せて 
■2次発酵は14~15度で実施。その後、12~13度のカーブでゆっくり熟成
■門出のリキュールに使う糖分はサトウキビを精製した蔗糖
■総生産量は約25,000本

シャトー・ド・アヴィズのこだわり
■自社ぶどうはシャルドネ。買付ぶどうはオーガ二ック栽培をしている生産者のものを使用
■ヴァン・ド・レゼルヴは一切使わない。理由はその年の個性を明確に表現したいから
■ヴィンテージ・シャンパンは本当に良い年だけしか造らない

今夏入荷予定のアイテムを加えた3種をテイスティング
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#1:()フォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット2011  
希望小売価格9,240円(税抜) (2016年8月頃入荷予定
ぶどう品種はシャルドネ100% (メゾンの前に広がる2.5㌶のアヴィズGCの自社畑のぶどう/ビオディナミ)。ドザージュは4.5g/L、気泡はワインに溶け込み、泡の刺激はソフト、新鮮さとぶどうの熟度に由来する厚み、エレガントな酸味、バランス良い

#2:()フォリアージュ キュヴェ・エクストラ・ブリュットNV 希望小売価格8,900円(税抜)
ベースワインは2009年ヴィンテージ。シャルドネ40%、ピノ・ノワール30%(コート・デ・セザンヌ)、ピノ・ムニエ30%(ヴァレ・ド・ラ・マルヌ)、ドザージュは5g/L

シャトー・ド・アヴィズの最大の特徴はヴァン・ド・レゼルヴ(リザーヴワイン)を使わないこと。多くのメゾンではNVを造る場合、毎年同じ味わいにするため、数多くの原酒をブレンドし、ヴァン・ド・レゼルブを使用することで、均一さを表現しています。でも、シャトー・ド・アヴィズでは、その年の個性を明確に表現したいということで、前述のコンセプトを厳守。ドザージュ量もわずか5g/Lということなので、まさに直球勝負のシャンパンです。今回が3回目の試飲でしたが3アイテムのなかで、個人的にはこのNVが好きです。

#3:(中央)フォリアージュ キュヴェ・ミレジメ2004  希望小売価格16,800円(税抜)
ぶどう品種はシャルドネ60%、ピノ・ノワール30%、ピノ・ムニエ10%、ドザージュは約8g/Lですが、その量については輸出する相手国やその時のボトル内の状態によって若干変えているとのこと。熟成期間は120カ月、デゴルジュマンは2014年初旬

#1や#2と同じく、フレッシュさと複雑味を兼ね備えたシャンパンでアフターに蜂蜜のニュアンス。興味深かった点は、「デゴルジュマンを終えたシャンパンは熟成はしないで酸化していく」とリデリックさん。市場にリリースされたシャンパンはできるだけ早めに飲むことを薦めていました。

Q:2010年に立ち上げたメゾンなのに、なぜ2004年ヴィンテージ?
A:エルヴェ・ジェスタンさん自らアッサンブラ―ジュ(ブレンド)したシャンパンで、彼がかかわるオーガニック栽培のぶどうを使い、シャトー・ド・アヴィズの名でリリースしたもの。エルヴェさんは多くのメゾンのコンサルタントとして活動しており、これは2004年当時、他のメゾンで仕込み、そこで熟成させていた樽をシャトー・ド・アヴィズに持ち込み、完成させたシャンパン

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セミナーが終わり、一安心のリデリックさんとペギーさん


セミナーでは木村硝子店がグラス協力をしていました。
木村硝子店のグラスで#3のシャンパンを試したリデリックさんは「グラスの形状の繊細さが印象的で、このグラスで飲むと2004年にもかかわらず、新鮮さが感じられ、ワインらしい味わいが出てくる」とコメントしていました。

クープ型のニューバージョン〝ピーボオーソドックス 64983-230〟は、顔がそのまま入りそうな広い口径109mm、長くて細いステムで高さは150mm、容量は240cc。ボウルの底辺部を平らにしているのは、少量で液面が均一になり、その液面から漂ってくる香りを素直に楽しんで欲しいという意図からです。
一昨日、ワインのこころ Non Solo Vino版で紹介させていただきましたので、ご笑覧いただければ嬉しいです。

シャトー・ド・アヴィズについての問い合わせはアズマコーポレーション ℡03-5275-3333

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ニコライホーフのクリスティーネ・サース夫人を囲んでのメーカーズ・ディナー@南青山ポルトゥス [来日したワイン生産者&関係者]

2000年の歴史を有すオーストリアの名門ニコライホーフ


世界遺産の地ヴァッハウにあるニコライホーフ、ウィーンから西に70㎞の場所に位置しています。
長い歴史のなかで修道院だった時代もあり、ウィーンのシュテファン寺院の古文書にニコライホーフ修道院のことが最初に記載されている由、当時から影響力があったことがわかります。



ニコライホーフは当主ニコラウスさんの曽祖父が124年前に買い取り、現在に至っています。
中庭のチャペルの前はアスタリスク(〝聖なる場所〟の意)のマークがあるスピリチュアルなエリア。ラベルにもこのロゴを載せています。

生命力のあるワイン


南青山のポルトゥスに20名ほどのニコライホーフファンが集い、サース夫人を囲んでスペシャルな時間を過ごしました。ニコライホーフのワインを熟知しているミシュラン星付きフレンチ出身の富樫陸也シェフと、オーストリアワイン大使の称号を持つ岩井穂純ソムリエの見事な料理展開にサースさんからも感激のお言葉が!


笑顔が良く似合うサースさん、ピンクのドレス姿も素敵でした!




ニコライホーフのワインは軽いけれどもパワーがあります。ディナーの最中、サースさんが多用していた言葉が〝生命力〟でした。これは〝種〟、土に戻って新しい命を育む種にすべてが凝縮され、それが生命力になっています。

「土壌にはストレスをかけず、除草剤や殺虫剤を加えないことが大事です」とサースさん。続けて「人工的なものを加えると、土壌にストレスを与えてしまうので、健全なぶどうは育たなくなります。それは子育てに例えることができます。子だくさんの母親がストレスを受けていると、ひとりずつの子供に十分な愛情を注げなくなるのと同じで、土壌が健康でないとぶどうも健全に育ちません」


ニコライホーフの中庭を感じさせる一皿


季節の野菜(ツルナ、キャベツ、イタリアの菜の花、からし菜)にレモンの皮を添えて。パスティスを加えたキャベツのピュレ × #1グリューナー・フェルトリーナー2013(以後GV)
ラベルの色とピュレの色が見事にマッチ!

GVは全オーストリアで36~37%の栽培面積を誇る代表的な品種。ぶどう畑、土壌、生産者の心意気で、エントリーレベルから高級レンジまでのワインが造れます。


ラベルのオレンジに料理がフィット。ハーブでマリネした静岡県産の富士レインボートラウト(功刀芳康さんが育てた鱒)、新玉ねぎのピュレ、ホワイトスター、炭の香りをつけたホワイトパウダー(つけると燻したニュアンスになる)を添えて × #2イム・ヴァイン・ゲビルゲ グリューナー・フェルトリーナー(GV)フェーダーシュピール2013

中央ヨーロッパで最も日照度が高いイム・ヴァイン・ゲビルゲ(〝ワインの丘〟の意)はオーストリアの守護聖人セヴァリンゆかりの地で、古文書にも最古のぶどう畑との記述があります。白コショウ、ミネラル、切れの良い酸が魅力の私のお気入りワイン!


手前の濃ブルー色のラベルがエリザベート2012
ウィーンの伝統的製法ゲミシュター・サッツ(畑に混植しているぶどうを一度に収穫して混醸するワイン)で、使用しているぶどう品種はGV、リースリング、ヴァイス・ブルグンダー、ノイブルガー、シャルドネ。各ぶどうの個性が合わさってひとつのハーモニーを表現。料理によってワインを構成している各品種の特徴が出るので、その時々で印象も異なり、面白さが広がります。

ニコライホーフの収穫は数回に分けて実施。ぶどうの熟度を見ながら手摘みで行います。
#1GV2013はニコライホーフの複数の畑から一番最初に穫れたぶどうで、樹齢は若樹から古樹まで様々。#2は2回目の収穫となるフェーダーシュピールで単一畑のぶどう、樹齢は50~60年(樹の植え替えは古樹を少しずつ)。3回目がスマラクト、4回目以降がアウスレーゼクラス


ニコライホーフのワインを使って蒸しあげたラングスティーヌ(手長エビ)、トマトのジュース、無菌のホワイトマッシュルームをスライスして × #3エリザベート2012


メインは低温でじっくりローストしたうさぎ、焼いた時の骨をダシに使い、アンズも一緒に煮詰めたソース。野菜はビーツ、辛み大根 × 2種のリースリング


(左から)
#4フォンシュタインリースリング フェーダーシュピール2006
ドナウ川の南側に位置するヴァッハウ産。9年間寝かせて瓶詰したにもかかわらずフレッシュさがあり、同時に力強さも併せもつ余韻の長いワイン。生命力を感じるワイン。
#5シュターナー・フント リースリングレゼルヴ2010
ドナウ川の北側にあるクレムスタール産。ミネラル、エレガント、クラシックなスタイル。ロバート・パーカーはシュターナー・フントを「世界最高のリースリング」と評価。毎回95~97点を得ています。

木樽で17年寝かせたヴィノテーク1995

ヴィノテーク・リースリング1995は一期一会のワイン



2004年6月、7500Lの大樽による長熟ワインに挑戦。完成したのがヴィノテーク・リースリング1990でした。ローマ時代からのセラーで14年間熟成させた後デビューさせ、ウィーンのワイン見本市でお披露目。その後、世界のワイン市場に向けて発売し、あっという間に1万本が完売。ヴィノテークシリーズとしては、グリュナー・フェルトリーナー1991、グリュナー・フェルトリーナー1993、そして、このリースリング1995年がデビューしました。

サースさんは2013年の来日時、「ワインは子育てと同じです。1990年ヴィンテージをリリースした段階で、私たちは素晴らしいワインができたと確信しました。ヴィノテークは毎年リリースしていませんが、7500L、5000L、3500L等の木樽で熟成させています」とおっしゃっていました。

#6ヴィノテーク・リースリング1995は、17年間木樽で熟成させていますが、信じられないくらいの若さを備えています。グラス内の温度変化で複雑味が増してきました。「ロバート・パーカーは今まで辛口リースリングに100点を付けたことはなかったのですが、これはPP100です」とサースさん。ワインは完売しているので、まさに一期一会のワインになりました。余談ですが、100点をゲットした後、オーストリアのネットで販売されたヴィノテークは350~1万€になったとか。


サースさんのピンク色のドレスにぴったりの、きれいなさくらをイメージしたデザート!


ビオディナミの調剤


サースさんは結婚した1971年に、夫の友人の医者からルドルフ・シュタイナーの人智学の本を譲り受け、その教えに心酔。ぶどう栽培やワイン醸造に導入していきます。当時はまだ、ビオディナミという言葉すらなかった時代で、周囲からは変人にみられることもあったとのこと。そのような経緯から言って、世界に先駆けてビオディナミを導入したワイナリーと言えます。この日はビオディナミ農法に欠かせない調剤をオーストリアから持参して披露してくれました。

(左から)
501は石英、珪石、長石、正長石の練り物状で、粉末にして水を加えたものを雌牛の角に入れて夏中、地中に埋めて晩秋に取り出す。茎や葉の成長を刺激し、葉緑素の同化作用を促進
502は鹿の膀胱に包まれたノコギリ草で、カリウム作用を適正化し、硫黄分を供給
503は牛の腸に詰めたカミツレ(カモミール)で、カルシウムの作用を適正化し、有害な結実を除去、石灰分を供給
504は乾燥させたイラクサで、樹液を循環させ、土壌に鉄分と窒素を与える
505はヨーロッパ・ミズナラ(オーク)で、樹皮を砕いたものを家畜の頭蓋骨に詰めて、ひと冬埋めておく。その効果は植物の力を強め、病気への抵抗力をつける
506は西洋タンポポで、頭花を乾燥させて圧縮し、牛の腸間膜に包み、ひと冬埋めておく。宇宙から放射される珪酸を取り込み、カリウムとの適正な相互関係を作る

調剤はほかにもまだありますが、この日は6種の色や香りを体験。存在感を主張する調剤は503と502がキングとクイーンでした。特に503は強烈で、匂い(土っぽさ、発酵臭)の効能も。自然界にあるものだけを使った調剤です。


上から見た調剤の色や形もご覧ください。

サースさんと一緒に満月の夜のワイン・メーカーズ・ディナーを楽しませていただきました。輸入元ファインズ様には大変お世話になりました。ありがとうございました!!


聖なる収穫祭のお祝い


ニコライホーフの家族と親しい仲間だけで祝う新酒の洗礼式にお声がけいただき、昨年11月にお邪魔してきました。サーフ夫人が進行役を務め、家族を紹介。ニコライホーフの建物は文化財指定になっているので、改装ができなかったそうですが、国からの許可が下りたので、「プライベートルームも増築できた」との思わずにっこりの報告もありました。



儀式はローソクだけを灯したセラー内で行われました。
司教さんは、「毎日ミサで説教をしていますが、新しいワインのために話をするのは年に1度、この日だけです」とあいさつ。キリストのパンとワインの話をしてくださいました。



2015年のヴィンテージは長男ニコラウスさんが醸造責任者になって10回目の新酒でした。
「冬は雨が少なかったのですが、春になって3日間豪雨が続いたので、水分も潤い、9月19日から開始した収穫も順調に進みました。質も量も理想的なので、2016年4月の瓶詰が楽しみです」と解説、その後、全員が新酒で乾杯しました。


収穫祭を祝うディナーでは

イチョウに名前が! 翌日、このイチョウはニコライホーフのお庭に戻されて土に戻る準備



サースさんの実妹2名 (最右)はガイヤホーフのイルゼさん、そのお隣はトラウディさん。ちなみにトラウディさんは愛媛伊予生まれの自然派農法の先駆者故福岡正行さんに傾倒。サースさんが来日していた今時期に、四国88ヶ所巡礼を遂行しました。

ニコライホーフのゲストハウス


サース家の4人の子供たちは親の教えと人智学に多大なる影響を受けています。長女エリザべートさんはワイン名にもなっていますが、ゲストハウスのオーナーで、ホテルも自然との融合を大事にしています。次女クリスティーネさんはお医者様。長男ニコラウスさんは2005年から醸造責任者として活躍。次男マーティンさんはデメターの化粧品に関わっています。

ニコライホーフの化粧品


サースさんがお土産にくださった化粧品の主たる原料はグレープシードオイルです。
「種は命の根源。種から花が咲き、実をつけて、また、土に戻り、新しい種となって、再生する」とおっしゃっていました。多忙な現代社会ではストレスからくる肌へのダメージや大気汚染からの影響もあります。心の窓ともいえる“皮膚”には水分補給や保湿を与えてあげることがとても大事。私は女性の年が出ると言われる首回りのケアに使っています(笑)

サースさんが語っていた、今、一番の宝物!
それは次世代、ニコラウスさんに引き継いだ健康な〝ぶどう畑〟とそこから生まれる〝ワイン〟だそうです。サースご夫妻にとって4人の子供たち、7人の孫も、素晴らしい宝物、財産ですよね。

いつも私をやさしく迎えてくださるサース家の皆様、本当にありがとうございました!

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