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醸造家クリス・カーペンターが語るナパ・ヴァレー〝マウンテン・ワイン〟の世界 [カリフォルニア]

醸造家クリストファー・カーペンターさん
パーカーポイント高得点の滅多に試飲できないワインたちとの対面、仕事冥利な時間でした!

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シカゴ出身のクリス・カーペンターさんは旅行でナパを訪問した時、自分が好きな科学への興味と、料理&ワインへの情熱の2つが同時に満たされるライフスタイルを発見します。その道を究めるため、すぐに、カリフォルニア大学デイビス校の大学院に入学し、ぶどう栽培学と醸造学の博士号を取得。イタリアやカリフォルニアのワイナリーで研鑽を積んだ後、ジャクソン・ファミリー・ワインズの醸造チームの一員として入社して、醸造家としての一歩を踏み出します。2000年に同グループのロコヤ、2001年にはカーディナル、2005年にはラ・ホタのワインメーカーに就任し、2007年からマウント・ブレイヴのプロジェクトに参加しています。

マウンテン・ワイン(山のワイン)の第一人者
プレスセミナーでは前述4ワイナリーの9アイテムを試飲。ヴィンテージはここ10年間で一番良いと言われている2012年でした。

カリフォルニアの産地はヴァレー・フロア(平坦地)とマウンテン・サイド(山岳部)に大別できますが、クリスさんが得意なのは〝マウンテン・ワイン(山のワイン)〟で、その魅力について、「平坦地にはない酸味、凝縮感、長熟感があり、そこに惹かれている」と語っていました。

クリスさんによると、ナパ・ヴァレーの土壌は3つに分けられ、ひとつは低地でナパ川に沿った栄養分のある土壌。あとの2つは山岳部で、海底が隆起した堆積土壌と、地殻変動から1000万年後に起きた火山活動による火山性土壌とのことです。

ナパ・ヴァレーの西側にあるマヤカマス山脈は朝日を受けても、霧の好影響下にあるので、陽ざしはやわらかく、湿り気もあり、青々としています。一方、東側のヴァカ山脈には西日がストレートにあたるので土壌は乾燥して赤茶けています。ただし、ヴァカ側にあるハウエル・マウンテンだけは例外で、西側に大きな山があることで湾からの霧がそこにぶつかり、ハウエル・マウンテンにかかります。ゆえに、ヴァカ側にありながら、最も冷涼で湿気もあり、ナパ・ヴァレーのなかでボルドーに最も近いアペラシオンと言えます。そこから生まれたワインが『ラ・ホタ』です。


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画像をクリックすると拡大
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ワインは左から順に#1~#9
グラスは前列左から#1~#4、後列左から#5~#9


ラ・ホタ
オリジナルの醸造所が完成したのは1898年、現在でもその施設を使っています。
創始者はドイツ系スイス人、デザイナーはイタリア人、ワイナリーを建設したのは中国人、畑を耕していたのはメキシコ人で、『ラ・ホタ』という名はアメリカンインディアンに由来。スペイン語で〝Jという文字〟を意味しています。

ハウエル・マウンテンはナパ・ヴァレーでも標高(427㍍)が基準になっている唯一のAVA。霧が到達する位置より上部にあるので、朝、霧の影響を受けることはありません。ラ・ホタ・ヴィンヤードおよび自社畑キイズ・ヴィンヤードのぶどうを使い、山岳部のカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランを生産しています。

#1:ハウエル・マウンテン  カベルネ・フラン ナパ・ヴァレー (RP91)
#2:ハウエル・マウンテン  カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー (RP92)
#1 は1976年に植樹したカベルネ・フラン100%。「古樹があることはラッキーだが、収量は1㌶あたり1.5トン、250ケースしかないので、日本へは数ケースだけ」とクリスさん。加えて、「ハウエル・マウンテンのワインは、タンニンがしっかりしているので、近隣の『ダン』のように、飲み頃になるまでには20年かかりますが、#2はCS77%、CF11%、PV8%、ME4%のブレンドで、ダークフルーツ、ミネラル、細かなタンニンが特徴で、若いうちから楽しめます」とコメントしていました。
ラ・ホタ2012 輸入元:ラ・ラングドシェン、参考小売価格:13,000円(税別)


マウント・ブレイヴ
スペイン人が入植する前に住んでいたワッポーインディアン族への敬意を込めた〝勇敢な戦士〟が名前の由来。1860年代初めからワイン造りの歴史があるマウント・ヴィーダーはナパ・ヴァレー最大のアペラシオンですが、ワインの生産は全体の2%のみです。

#3:マウント・ヴィーダー メルロー
#4:マウント・ヴィーダー カベルネ・ソーヴィニヨン(RP92)
「マウント・グレイヴ・ヴィンヤードは標高は約430~550㍍なので、霧が降りてくる位置より上にあり、まだ寒いうちから日差しを受けるので、フレーヴァーの生育が早く始まります」とクリスさん。#3のメルローはパワーと凝縮感もあり、#4のカベルネはブレンドタイプで、味わいはしっかりしていますが、柔らかいタンニンなので口中スムース
日本未発売


カーディナル
ナパ・ヴァレーのいろいろなアぺラシオンをブレンドしたのがカーディナル。様々な特徴を持つワインを、ヴィンテージの特徴を生かしながら、層を重ねるように深みのあるスタイルに造り上げています。クリスさんは「オーケストラには管楽器、弦楽器等、いろいろなパートがありますが、ひとつにまとまっています。また、素晴らしいオーケストラならバイオリンに注力しようと思えばそれもできます。カーディナルも同じで、ハウエル・マウンテンに注力すればそれがどのようなワインかが理解できるし、全体として何かが突出しているのではなく、バランスが取れています」と解説。2012年は素晴らしいVTだったので、7つのアぺラシオン(マウント・ヴィーダー、ハウエル・マウンテン、スタッグス・リープ、スプリング・マウンテン、セント・ヘレナ、ヨントヴィル、ダイヤモンド・マウンテン)をブレンドしたそうですが、彼の芸術性が試される特徴的なワインのひとつです。
カーディナル2012(RP98)、輸入元:ラ・ラングドシェン、参考小売価格:45,000円(税別)


ロコヤ
カーディナルがオーケストラなら、1995年設立のロコヤはソロのワイン。ナパ・ヴァレーの標高335~550㍍の4つの山岳部の畑のカベルネ・ソーヴィニヨンをすべて同じ醸造法で造るので、違いは場所だけ。彼のワインメイキングを表現したワインです。
山のワインの大家クリスさんは「ロコヤはコレクターのためのアイテム。理由はコレクターは購入してから長い間セラーで寝かせておくことができるからです。ロコヤの4つの違いは〝タンニンの違い〟なので、今日テイスティングした順番が力強さの順になります。アメリカでは子供が生まれたらロコヤのマウント・ヴィーダーを購入し、21歳になったら開けて楽しむことが多い」と述べていました。

#6:ロコヤ ダイヤモンド・マウンテン・ディストリクト CS(RP96)
ダイヤモンド・マウンテンはマヤカマス側の一番北側にあり、温かな場所なので、チョコレートがけのチェリー、豊潤な味わいが特徴。自社畑ではないので、購入したぶどうを使用

#7:ロコヤ スプリング・マウンテン・ディストリクト CS(RP98)
土壌が他と違い、海底が隆起した堆積土壌なので、フローラルさが特徴。オレンジや桜のような香り、赤い果実と濃い果実の香りがあり、若々しいタンニンがあります。

#8:ロコヤ ハウエル・マウンテン CS(RP99)
ラ・ホタから1.5㎞離れた自社畑キイズ・ヴィンヤーズのぶどうを使用。ここでは1994年からワイン造りをしていますが、「ナパでも1、2を争う秀逸な畑、リッチさが特徴」とクリスさん

#9:ロコヤ マウント・ヴィーダー CS(RP100)
マウント・グレイブのお隣にあり、1993年に購入した畑。山岳部の畑にしては珍しくフラットな土壌なので、クリスさんは「栽培家にとっては正確に日照量を計測しコントロールできる利点がある」とコメント。スミレやブルーベリー、力強いタンニンのストラクチャーが特徴。
ロコヤ2011 輸入元:JALUX、参考小売価格:59,000円(税別) ※2012年未リリース


ホテルオークラ『山里』でのマリアージュ体験

セミナー後は澤内恭和食調理総料理長が、事前にワインを試飲して考案してくださったメニューと合わせての贅沢なマリアージュ体験!
澤内料理長から「香りが高く、しっかりしたワインなのですが、料理との相性を考えた時、正面から組むと、前菜から和食が負けてしまうので」とのお言葉がありましたが、実際に試して、そのお言葉の裏にあった見事な工夫はとても勉強になりました。

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突出し:無花果 黒胡麻味噌 かもじ葱 鰻 豆腐もろみ漬け オクラ

無花果に和の素材の黒いゴマを使うことで重厚さが加わりました。私は登場した鰻に山椒を合わせたくて、粉山椒をお願いしたのですが、これは定番ともいえる組み合わせなので、有馬焼(山椒を使った焼き物)を考えていらした料理長は敢えて突出しでの山椒使用は避けていらした由。鰻の下の諸味噌は長い時間漬け込んで、水分を絞り、湯葉に近い豆腐 (チーズのような状態)にしたものだったので、2005年VTの熟成感と拮抗していました。

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凝縮感たっぷりのロコヤ2005

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お造り:鰹土佐造り 玉葱醤油 季節の芽物

料理長いわく「お造りが一番難しかった」と。刺身の場合、旨みがのっている状態がベストなのですが、今回は血合いを赤ワインに合わせるのが基本にあったので、鰹の食べ頃の旨味と血合いの鮮度の具合がポイントに。鰹を少しあぶり、桜のチップで少々燻製香をつけ、食感をきちんと残しつつ、醤油のジュレを添えて、ロコヤ2001との相性を考えた一品になりました。
玉葱醤油はコンソメをジュレにしてかつおだしと合せたものです。下準備の段階ではカツオにワインとお醤油でほんの少し味をつけています。相性の良さを引き立てるために作った白ゴマドレッシング(ゴマとかつおだしだけ)もありました。

ちなみに登場したロコヤ2001はクリスさんが栽培から醸造まで手掛けた最初のワインで、初デビューでパーカーポイント100点をゲット、14年以上の熟成を経てもまだ若さがありました!

焼き物:銀鱈有馬焼 谷中生姜 諸胡瓜 諸味噌

この印象について7月23日付のワインのこころで、一足先にご披露させていただきました。
銀鱈の有馬焼(実山椒を使った料理)で、山椒の実を炊き、それをたたいてのせています。旬の谷中生姜はスパイシーさ、刺激を生かした工夫。ロコヤ2001との相性は料理長の愛が実った一皿でした!

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黒毛和牛 すき焼き 野菜をロコヤ2007とカーディナル2005と合わせて
個人的にはブレンドタイプのカーディナルとの相性が好きでした。

今まで、カリフォルニアや豪州等の、濃くてアルコール度数の高いワインを和食に合わせるという試み、その相性すら十分に考えるチャンスがなかったので、とても興味深い体験になりました。
ありがとうございました!


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