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ビオディナミの大家エルヴェ・ジェスタンが仕切るシャンパン『シャトーダヴィズ』 [来日した生産者/NHK文化センター シャンパン]

エルヴェ・ジェスタン氏来日に伴うランチミーティング@モナリザ丸の内

(左から)シャトーダヴィズの広報担当ペギー・ファロナ・バトゥー女史、エルヴェ・ジェスタン氏、モナリザ丸の内の河野透オーナーシェフ
供出アイテムはグラン・クリュ ブラン・ド・ブラン エクストラ ブリュット2012(左)とフォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン ブリュット2011


シャトーダヴィズについて
2010年にシャンパーニュ地方コート・デ・ブラン地区のGCアヴィズ村に設立されたメゾン(NM)で、5名で運営。フォリアージュ(“葉っぱ”の意味)はシャトーアヴィズの弟分的位置付け。ぶどう栽培、ワイン醸造まですべての監修を行っているのはエルヴェ・ジェスタン氏。シャトーダヴィズの共同出資者のひとりでもあります。ビオディナミ農法&シャンパン造りに精通し、多くのメゾンでコンサルタントをしていたことで知られています。1982年から2006年までは『デュヴァル=ルロワ』の醸造責任者、ルイ・ロデレールでも活躍しました。ちなみに、シャンパーニュ地方におけるオーガニックの栽培面積は約0.01%、オーガニック生産者とビオディナミ生産者数の比率は 127 / 30の割合になっています。

栽培と醸造に関して
■ステンレスタンクと樽で発酵
■MLFは樽内で行うが、基本的に自然の成り行き
■門出のリキュールに使う蔗糖はオーガニック栽培のサトウキビ

シャトーダヴィズのこだわり
■自社ぶどうはシャルドネ。買付ぶどうはオーガ二ック栽培をしている生産者のものを使用
■NVは単一年。個性を明確に表現する意味でヴァン・ド・レゼルヴは使用せず
■ヴィンテージ・シャンパンは良い年だけ生産

シャンパーニュ地方でシャトー名を冠するメゾンは3つだけ
「カーヴの前にまとまった区画の畑があることが条件」とジェスタン氏。シャンパーニュではChateau d'Avize(コート・デ・ブラン)、Chateau de Bligny(コート・デ・バール)、Chateau de Boursault(エペルネ)


自然を尊び、キャップシュールは蝶々の絵柄



ジェスタン氏はボトルとグラスの“共鳴”を測っています。そのための機器が手にしているLecher Antenna(1950年代にドイツの物理学者が開発したもので、建築やセラピー等でも利用)
追記:2019年5月2日:オーストリア生まれのErnst Lecher エルンスト・レッヒャー(1861- 1925)が考案したアンテナなので、カタカナ表記はレッヒャー・アンテナにしておきます。

「アンテナのはね返りでワインのエネルギーの数値を測定し、それによってシャンパン自体がどのグラスに入りたいかを見ています。2012年ヴィンテージは丸い形状のグラス(下部にある画像のふっくらしたタイプ)を選びました」とコメント。ドザージュ量もこのアンテナを使って決めているそうです。


丸の内モナリザの料理に合わせて



アミューズ・ブーシュはトマト味のキッシュ、上に乗っているのはおかひじき
左のグラスが2012年ヴィンテージ、右は2011年ヴィンテージ


アスパラガスのフェットチーネ
こだわり卵のカルボナーラ仕立て


温泉卵のねっとり感を2012年のきれいな酸が洗い流してくれて口中爽快


春キャベツで包んだ鴨モモ肉のコンフィ ビガラードソース


表情がなんとも可愛い!


どの食器もパステルカラーでとっても優しいイメージ、河野オーナーシェフ好みなのでしょうね。
ジェスタン氏自慢の2012年はアミューズ・ブーシュからデザートまでに寄り添ってナイスマリアージュ


参加者全員で記念ショット


ジェスタン氏のビオディナミ考
アルコールに否定的だったルドルフ・シュタイナー
ジェスタン氏はランチ時、「シュタイナーは農業やぶどう栽培については触れていますが、ワイン醸造については触れていません。彼はインド哲学に傾倒していたので、ワインについて考える事をしなかったのではないかと思っています」と述べました。
それに関連して思い出したことがあります。
2004年、ビオディナミの教祖と言われていたニコラ・ジョリー氏が来日した時のことです。私はどうしてもジョリー氏に聞きたいことがあったので、次にような質問をしました。

青木:ルドルフ・シュタイナーはタバコとアルコール、とりわけアブサンが人体に与えるものは害であると説いています。アルコールに対して否定的だったシュタイナーが提唱するビオディナミ農法によってぶどう栽培をしていることについてあなたはどのように考えているのですか?

ニコラ・ジョリー:私はシュタイナーの農業を自分なりに解釈し、いつも自分に問いかけながら仕事をしています。それを実践の場に持ってこなければなりません。シュタイナーは何ひとつとして禁じることはしていません。誤解して欲しくないのですが、ワインだけが唯一のアルコールではないのです。タバコもアルコールも、どれだけ摂取するかが問題なのです。全ては量と質の問題になります。人工的に造られたワインはとても危険であり、ビオディナミで造られた正しいワインを飲むのであれば健康に問題は生じません。シュタイナーの考えは農業と土地と太陽を結びつけることにあります。土に命を与えるため、ビオディナミの調剤を散布し、土を肥沃にします。それによってその土地に育つぶどう樹は太陽エネルギーを受けやすくなり、伸びて行きます。ぶどう樹は土と太陽を結ぶ媒体になるので、ビオディナミで育てられたぶどう樹は、ワインの中に自分を十分に表現できるのです。本物のぶどう樹によって造られた“本物のワイン”です。
出典:日本ソムリエ協会機関誌No77 10頁/リポート青木冨美子

ジェスタン氏は“アルコール(狭義のワイン)”造りに関して、「ワインは嗜好品なので、あってもなくても良いものですが、皆がワインを飲むということはそこに良い影響がなければなりません」と述べ、25年以上にわたり、考えていることが、「飲み手が酔わずに、体に悪影響を及ぼすことなく、メッセージを伝えることができるワイン造りです」と語りました。

そして、一例として挙げていたのが調剤のカモミールです。
「カモミールにはワインのなかの良くない要素(=アルコールの悪い影響)を取り除いてくれる効果があります。(自然界から採取された)硫黄の効果を高め、ワインをきれいにする効果もあります」と解説、これは抽出して使うようです。
ジェスタン氏が言うように、シュタイナーがワイン醸造については触れていないとするなら、氏が語っていたことはほとんどオリジナルになると思います。ランチ中も、「生きているワイン、飲み手に特別の感情をいだかせるワイン、エネルギーのあるワインを造りたい」と再三語っていたので、ビオディナミの指導者、大家として、今後さらに独自の醸造スタイルを築きあげてくださると確信しています。

ニコライホフのワインにある“核”


ジェスタン氏は江本勝氏の『水の記憶』についても触れていました。これは愛情あふれる言葉と罵倒するような言葉を浴びせた水を、顕微鏡で見ると、前者は綺麗な結晶になり、後者はいびつになるというお話。ゆえに、ジェスタン氏は醸造所内では、きたない言葉を使わないようにしていると語っていました。

これを聞いて思い出したのが、チリの名門モンテスの樽貯蔵庫です。ここではいつもグレゴリオ賛歌を流しています。ワイナリーサイドでも効果はあると思っているようです。

そして・・・結晶に関しては、私自身、江本氏の本を読んでいないので、意見を言える立場にはありませんが、2006年にビオディナミの造り手、尊敬するオーストリアの『ニコライホフ』の当主夫人クリスティーネ・サース氏が来日して行ったセミナーで、1滴のワインのなかに存在する“核の結晶”を見せてもらったことがあります。上記の左の画像がそれで、ニコライホフのビオディナミの畑のぶどう(グリューナーフェルトリーナー)から造ったワイン1滴を顕微鏡で見た“核”です。右は農薬を使ったワインだそうで、核はありません。
出典:日本ソムリエ協会機関誌No95 53頁/リポート青木冨美子

折しも5月にニコライホフ訪問を予定しているので、ワイン1滴のなかで証明できる“結晶”の話をもう1度、伺ってみたいと思っています。



「桜の季節に訪日したかったので、アズマコーポレーションのお陰で実現して嬉しい」とジェスタン氏。次回の来日は日本で行われるラグビーワールドカップの観戦も兼ねて、のようです。


[NEW]4月のシャンパーニュ講座はジェスタン氏絡みのアイテム
NHK文化センター青山校の上期講座(4月~9月)スタート、第1回目でフォリアージュを取り上げました。



第1フライトはデュヴァル=ルロワとルイ・ロデレールを交えて
IMG_2170.jpg
#1:デュヴァル=ルロワ フルール・ド・シャンパーニュ 1er ブリュットNV
生産者:デュヴァル=ルロワ
ぶどう品種:CH70%、PN30%
ドザージュ:8g/L
価格:7,500円(税別)
輸入元:アイコニック ワイン ジャパン
1911年から生産しているアイテム。ステンレスタンク内で発酵・醸造。最低30ヶ月瓶熟成。MLF有。フレッシュ、“フルール”の名の通りフラワリー、泡の食感滑らか、中盤から余韻まで優しい酸味が続き、果実の余韻も重なってフェミニンな印象
ジェスタン氏がデュヴァル=ルロワ在籍中に完成させたビオディナミ農法による『オーセンティス(“正真正銘”の意味)』のキュミエールとトレパイユは現在生産していません。新製品プレシャス・パーセル・シリーズのキュミエール(有機栽培によるピノ・ノワール100%)がそれに当たります。

#2:ルイ・ロデレール ブリュット プルミエNV
生産者:ルイ・ロデレール
ぶどう品種:PN40%、CH40%、M20%
ドザージュ:9g/L
価格:7,200円(税別)
輸入元:エノテカ
気泡の木目も細かく活発、香りは#1より華やか 、酸のニュアンス(ノン・マロ)、グレープフルーツ、白桃、ミネラル、アカシア、味わいに厚みがあり、余韻も長め。
ビオディナミへの取り組みは十数年前からで、すべての作業はカレンダーにそって実施。クリスタル(2020年に100%の予定)とブリュット・ナチュール・フィリップ・スタルクモデルにはビオディナミのぶどうを使用。ルイ・ロデレールのシャンパンの気圧は5気圧(平均5.2気圧)で、ブラン・ド・ブランは4気圧になっています。

#3:フォリアージュ キュヴェ・エクストラ・ブリュットNV
生産者:レ・シャンパーニュ・デュ・シャトーダヴィズ
ぶどう品種:CH40%、PN30%、M30%
ドザージュ:5g/L
価格:8,900円(税別)
輸入元:アズマコーポレーション
ヴィンテージ表記なしですがベースは2010年産ワインで、NVであってもリザーヴワインは一切使いません。3アイテムのなかで一番濃いめの色調、フレッシュな酸味、メロン、ドライフルーツ、燻したニュアンス、クリームブリュレ、ぶどうの熟度を感じる味わい。



第2フライトではヴィンテージ比較


#4:フォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット2012
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:4.0g/L
価格:25,000円(税別)
2012年はジェスタン氏渾身の1本。カーヴ前の畑のぶどうを完成したカーヴで仕込んだもので、同メゾンの2番目のヴィンテージ、講座で用意したシャトーダヴィズの4アイテムのなかで一番存在感あり。ガス圧6.8。ピュアで、筋の通った酸も魅力。旨味があり、グラス内の温度があがってもブレることのない安定感

#5:フォリアージュ グラン・クリュ ブラン・ド・ブラン ブリュット2011
ぶどう品種:CH100%
ドザージュ:4.1g/ L
価格:9,240円(税別)
カーヴ前の畑のぶどうを使い、別の施設で仕込んだファーストヴィンテージ。伝統的な垂直式圧搾機で圧搾、自然に清澄、ステンレスタンクと樽で発酵、澱の上で9ヶ月寝かせ、36ヶ月熟成、ガス圧6.2 。フレッシュ、白い花、ミネラル、ロースト、シルキー、果実味と酸味のバランス



コトー・シャンプノワも供出


#6:フォリアージュ コトー・シャンプノワ・ブラン2014
ぶどう品種:CH100%
価格:12,000円(税別)
非発泡性ワイン。生産量590本、22ヶ月澱の上で樽熟成、ノンフィルターで瓶詰め、良年のみ生産。淡いイエロー、フレッシュ、火打石、石灰由来の香り、柑橘系果実に加え、アーモンドやナッツ、味わいにグレープフルーツの内果皮似のビター感、口中シームレス


どのボトルも状態が良く、嬉しく思いました。4月から青山校にもワイン用セラーが常設されたのでより安心です! 来月も引き続き、ジェスタン・シャンパンの探究をする予定でおります。
講座生の皆さま、4月に体験したシャンパンの味わいを覚えておいてくださいませ!

[イベント]6月19日に開催するシャンパーニュに拮抗するスパークリングワイン探究 
ただ今受付中です、残席数名になりました。
皆さまのご参加、お待ちしております!!

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